意外な勝者――日本古典文庫「源氏物語」「真木柱」
日本古典文庫「源氏物語」「真木柱」を読む。玉鬘を巡る争いは右大将(髭黒)の勝ちとなった。冷泉天皇が玉鬘に興味を示しているため、光源氏はまだ公表しないように言う。源氏は残念に思いつつも実家(内大臣)も歓迎しているのだから(既に弘徽殿の女御が入内しているので)やむを得ないと考える。仮に帝の情人となっても第一の寵愛は受けられないのである。大将は夫人や子息への愛も消えかかっていた。大将の夫人は精神を病んでいた。それで父の式部卿宮(紫の上の父)は実家へ戻るように促す。大将は思いとどまる様に説得するが、雪の日に玉鬘の許へ通おうとした大将へ夫人は火入れの灰を投げつける。大将は夫人を疎んじる様になった。大将は玉鬘の許に入り浸る。大将と夫人の間には十二、三になる娘(真木柱)がいた。式部卿宮は夫人を実家に帰す。大将は源氏と内大臣の両方と強い関係があり、式部京宮もどうしようもない。式部卿宮は源氏が須磨に流されていたとき、冷たく接したため、源氏にはよく思われていなかった。大将は式部卿宮の許へ赴くが娘(真木柱)とは面会できず、二人の息子だけを連れて帰る。玉鬘は宮中へ尚侍として参内する。冷泉天皇が玉鬘の美しさを認める。それを察した大将は玉鬘を自邸へ引き取って出仕させない様にしてしまう。源氏は玉鬘に手紙を出すが、大将が返事を書く。十一月に玉鬘は男子を出産した。もしも皇子を出産していたらと兄弟の頭中将は思う。近江の君は源中将(夕霧)に戯れの声をかけ、夕霧は異なことに思う……という内容。
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