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2020年6月25日 (木)

未亡人に求婚する――日本古典文庫「源氏物語」「夕霧」

日本古典文庫「源氏物語」「夕霧」を読む。大将(夕霧)は一人の夫人の忠実な夫と世間では思われていた。その大将は現在、友人で従兄の柏木の未亡人・女二の宮(朱雀院の娘)に接近したいと考えていた。女二の宮の母の御息所は物の怪に憑かれて比叡山の麓の小野というところに居を移していた。八月二十日頃、夕霧は小野を訪ねた。病床の御息所が応対する。夕霧は少将という女房を通じて女二の宮に恋心を打ち明けるが、女二の宮は夕霧を近づけようとしない。夕暮れになり霧が辺り一面を覆った。これで帰れなくなったと口実を見つけた夕霧は女二の宮に接近する。が、女二の宮は拒む。女二の宮は故人(柏木)の妹の夫である夕霧との噂が立ったら太政大臣家ではどう思うだろうか、また世間に噂が立ちはしないかと煩悶する。夕霧も敢えて事には及ばず一夜を過ごす。夕霧は家には帰らず花散里の許に行く。夕霧は女二の宮に手紙を書く。女二の宮は昨夜のことを母の御息所に知られたらどうしようかと思い悩む。御息所の加持祈祷をしていた僧侶が昨夜夕霧が朝帰りしたと御息所に漏らしてしまう。御息所は女房の少将を呼んで事情を訊く。御息所はなぜ女二の宮が男を近づけてしまったのかと考え、夕霧に手紙を書く。その後、御息所の病状が悪化する。手紙は夕霧の許に届いたが、妻の雲井の雁が奪って隠してしまった。雲井の雁は夕霧がまじめでなくなったと恨み言を言う。翌日になってようやく手紙が見つかる。夕霧は御息所と女二の宮に手紙を書いて出す。が、手紙を見ない内に煩悶したまま御息所の容態は悪化して亡くなってしまう。御息所の葬儀が行われ、夕霧も手を尽くした。女二の宮からの返信は無かった。四十九日も終わらぬ間に夕霧は小野を訪ねる。少将が応対する。夕霧は後見人のいなくなった女二の宮の面倒を誰が見るのだと主張する。少将は当惑するばかりである。夕霧は仕方なく帰る。雲井の雁は今になって夫の愛情が失われたと嘆く。六条院(源氏)も浮いた噂のなかった夕霧にこのような問題が持ち上がったことを知るが、干渉すべきではないと考える。六条院で源氏と対面した夕霧は素知らぬふりをする。女二の宮には出家する意思があったが、女三の宮に続いて女二の宮まで出家することになると不幸なことだと考えた朱雀院(源氏の兄)に反対される。夕霧は見切りをつけ女二の宮の住いである一条院を修築させ結婚式の準備を整える。女二の宮は邸に帰ることを拒むが家人の大和守が反対する。女房たちは女二の宮が髪を切らないよう鋏を隠してしまう。夕霧の三条の家では急な結婚話に驚く。夕霧は少将の手引きで女二の宮の寝所へ入る。女二の宮は蔵に籠って鍵を掛けてしまう。翌朝、夕霧は花散里の許へ行き、事情を訊かれる。夕霧は御息所が女二の宮の後見をするよう遺言したのだと答える。夕霧は花散里の善良さを褒める。花散里はそれは源氏の愛情が薄いということだと答える。三条の家へ帰ると雲井の雁は子供を連れて実家(太政大臣家)に帰っていた。夕霧は少将の手引きで女二の宮に接近する。が、女二の宮はまだ心を開かない。こうして夕霧は一条邸の主らしく振舞いだす。一方、雲井の雁は実家に居ついていた。夕霧は迎えに行く。が、雲井の雁はかたくなである。夕霧は一人寝する。太政大臣(頭中将)はこのことを知って一条の宮へ手紙を出す。蔵人少将が使いとなって手紙を届ける。一方、夕霧の愛人の典侍は自分のことを許しがたいと思っている雲井の雁に侮りがたい相手が出現したと思う。夕霧はたくさんの子に恵まれていて、雲井の雁が産んだ子と典侍が産んだ子がいた。このうち典侍が産んだ内の二人は花散里が引き取って育てていた。

 

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