虫の音に秋を感じる――日本古典文庫「源氏物語」「鈴虫」
日本古典文庫「源氏物語」「鈴虫」を読む。夏に入道の宮(女三の宮)の持仏の供養が催された。六条院(源氏)は尼君の宮(女三宮)に来世の蓮の台の上では仲睦まじく暮らしてくださいと言う。源氏の女三の宮に対する愛情は今となって深まっていた。朱雀院は自分が分与した邸に移るよう促していたが、六条院が反対していた。また女三の宮への経済的補償も行う。秋になり、六条院は尼宮の住居の庭を草原に作らせて虫(鈴虫や松虫など)を放った。女三の宮に従って出家する女官たちは選んで数を絞った。六条院の誘惑に、出家してようやく心の平安を得た女三の宮は苦悶する。女三の宮の読んだ歌に六条院はあなたに恨ませる様な事は無かったはずだと答える。琴を弾くと兵部卿宮(源氏の弟)や大将(夕霧)たちが集まって来て音楽を奏する宴となる。六条院は音楽の得意だった衛門督(柏木)を思い出し涙を流す。冷泉院の使いが訪れ冷泉院に赴く。中宮は六条御息所の供養をするため出家したい旨語るが六条院は反対する。六条院は大将や明石の姫君よりもなお実子の冷泉院を大切に思っているのである。
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