自分好みの女に育てる――日本古典文庫「源氏物語」「若紫」
日本古典文庫「源氏物語」「若紫」を読む。病を得た光源氏は祈禱してもらうために北山へ向かう。そこの僧都の姉(尼)の孫娘(後の紫の上)が藤壺の兄の子だと知って、光源氏は手元に置いて育てたいと考えるようになる。まだ幼いところに急な結婚話で祖母の尼は戸惑う。
……一方で病気で実家に下がった藤壺と密通した光源氏だが、藤壺は懐妊してしまい、藤壺は真の父という秘密を抱えることになる。
祖母の尼が亡くなってしまい、正妻のいる父宮のところに預けられるところだった紫の上を光源氏は機先を制して二条院に連れ帰ってしまう……という内容。今だったら誘拐だろう。
幼い紫の上を見て、そこに藤壺の面影を重ねるのである。幼い少女を自分好みの女性に育てるという貴族でなければできそうにない趣味である。予想と違って、藤壺の宮との密通はさらりと書かれているだけだった。他、伏線として明石のことが書かれていた。
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