鼻先の赤い不美人――日本古典文庫「源氏物語」「末摘花」
日本古典文庫「源氏物語」「末摘花」を読む。大輔の命婦から荒れた屋敷に住む常陸宮の女王(末摘花)の話を聞かされた光源氏は零落した末摘花の境遇に興味を抱くようになる。何度も手紙を送るが末摘花は極度の引っ込み思案で返事を寄こさない。頭中将と競って末摘花と契った光源氏だが、その容貌は鼻が高くて長く、その先が赤いという不美人だった。が、光源氏は却って哀れに思い、末摘花の生活の面倒を見る様になった……という内容。
……顔も知らない人に懸想する平安時代の恋愛が現代人の自分にとっては理解の外にある。面食いと言われたこともあるけれど、やはり好みのタイプというのはある。ただ、外見だけで判断して内面を顧みないのは危険である。
男であるが鼻先が赤い人は実際にいた。体温が高いらしく冬でも薄着という人だった。
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