鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽――大道神宝三種神器事之段
◆はじめに
この舞は未見である。埼玉県久喜市鷲宮の鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽の第七段「大道神宝三種神器事之段(たいどうじんほうさんじゅじんぎわざのまい)」はいわゆる三種の神器に題材をとった舞で、国を鎮護し守る神楽とされている。着面の三人による舞。一人は神璽(しんじ)事人といい、翁面をつけ、鈴と宝珠を持つ。宝剣(ほうけん)事人は千歳面をつけ鈴と剣を持つ。もう一人の内侍所(ないしどころ)事人はイザナミ命の面をつけ、鈴と鏡を持って舞う。」
大道とは天下を治める道のことを言う。
歌 神代より 三種(さぐさ)の宝 伝わりて 豊葦原(とよあしはら)の しるしとぞなる。
◆武州鷲宮神楽資料
カタカナはひらがなに改めた。
第七 大道神宝三種神器事之舞 同三人
大道とは天下を治る道を云、何を以ておさむるなれば三種を以て政道の根本とす、是にます宝なけれは神宝とは也(ママ) 天照太神より瓊々杵尊へ天下を御譲りなされし時、此三の宝を以て一天の君となし玉ふ 教(のり)良公の哥に、神代より三種の宝伝はりて、豊あし原のしるしとぞなる、爰(ここ)にて玉を持舞は櫛明玉神、是玉作の祖なり、鏡を持舞は天の糠(ぬか)戸神、これ鑑作の祖也。剣は天目一箇(あまのまひとつ)神、是金工の祖なり、三種とは曲玉、八咫の鏡、草薙剣なり、伝に云、此三種を智仁勇の三徳にたとふ、是みな物によせて道を伝へ玉ふ親切を味ふべし、玉は仁、鏡は智、剣は勇なり、是を一心にたもつ時は、天下平安におさまること、又天にとつては鏡は日、玉は月、剣は星なり、三光あるを以て天とし、三器つたはるを以て天子とし、三徳を守るを以て人とす、何れも国家鎮護の神楽なり。
◆参考文献
・「日本庶民文化史料集成 第1巻 神楽・舞楽」(芸能史研究会/編, 三一書房, 1974)p.348
・鷲宮催馬楽神楽パンフレット
記事を転載→「広小路」
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