« 鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽――大道神宝三種神器事之段 | トップページ | 一人二役は無理――佐藤両々「カグラ舞う!」 »

2020年1月26日 (日)

鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽――祓除清浄杓大麻之段

◆はじめに
 埼玉県久喜市鷲宮の鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽の第八段「内外清浄杓身曾貴(ないげしやうぜうしやくみそぎ)之舞」は現在では「祓除清浄杓大麻之段(はつじょしょうじょうしゃくおおぬさのまい」と表記されており、天津神が地上に下って高天原に帰る際に川で身を清める舞だと説明されている。素面の二人による舞である。元は黄泉の国に下ったイザナギ命が地上に戻ってきて身の穢れを川の中流ですすいだことに由来しているとある。素面の二人による舞。二人とも杓、扇、鈴を持って舞う。

歌 大原や せがいやせがいの 水を手に汲みて 鳥は鳴くとも 遊びてゆかん さえ

鷲宮神社・土師一流催馬楽神楽・祓除清浄杓大麻之段
鷲宮神社・土師一流催馬楽神楽・祓除清浄杓大麻之段
鷲宮神社・土師一流催馬楽神楽・祓除清浄杓大麻之段
鷲宮神社・土師一流催馬楽神楽・祓除清浄杓大麻之段
鷲宮神社・土師一流催馬楽神楽・祓除清浄杓大麻之段
鷲宮神社・土師一流催馬楽神楽・祓除清浄杓大麻之段

◆武州鷲宮神楽資料
 カタカナはひらがなに改めた。

第八 内外清浄杓身曾貴之舞 同巫女二人

 此神楽は巫女二人にて舞なれとも、女に限らず男も舞ことあり。其故は伊弉冊尊薨(かく)御の時、伊弉諾尊諒闇に沈ませ玉ひ、其御心の迷汚(よこれ)をなおさんと、則日向の檍原(あわきがわら)の川の瀬に御幸なされ、中つ瀬に至り御身をすゝぎ清め、御心のけがれを清浄(あきらか)にあそばされしことを表す。仍て内外しやうぜうと云、忌服の義も是より起れり、兼邦卿百首の哥、たちばなの小戸のみそぎを始にて今も清むる吾身なりけり、惣て祓いは水辺にて行へきこと本式也、依て祓ひ洗ひ同訓也、しかれとも冷水にかゝるは却て不浄の意もあり、身曾貴は身をそゝぐ義なり、心さへせうぜうなればよきと云へは、天竺の教か扨(さて)河神は速秋津日神、速秋津姫神なり、爰(ここ)にて其狂れるをなおし玉ふ神を神道日神、次に大直日神と申す、此神楽は人々身の過を改むへき教にして、内外清浄なるは神の心なり、されば諸人日々己れが過を知て直すこと湯に入て垢を去るか如し。

◆余談
 巫女二人による舞で華がある舞。最近では巫女さんが9名いるとのことで、二度舞われることが多い。

◆参考文献
・「日本庶民文化史料集成 第1巻 神楽・舞楽」(芸能史研究会/編, 三一書房, 1974)p.348
・鷲宮催馬楽神楽パンフレット

記事を転載→「広小路

|

« 鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽――大道神宝三種神器事之段 | トップページ | 一人二役は無理――佐藤両々「カグラ舞う!」 »

関東」カテゴリの記事

神楽」カテゴリの記事