鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽――天照国照太祝詞神詠之段
◆はじめに
埼玉県久喜市鷲宮の鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽の最初の舞として舞われるのが「天照国照太祝詞神詠之段(あまてるくにてるふとのりとしんえいのまい)」である。素面の一人による舞。中啓(扇)を持ち、その後、中啓を幣と鈴とに交換する。天照国照とは天と地をわけへだてなく照らす、太祝詞は立派な祝詞という意味で、天岩戸で天児屋根命が詠んだ祝詞に由来するという。
歌 八雲立つ 出雲八重垣 妻籠めに 八重垣つくる その八重垣を
◆武州鷲宮神楽資料
カタカナはひらがなに改めた。
初段 天照国照太祝詞神詠之舞 舞壱人
此神楽は清陽なるものは薄靡て天となり、重り濁れるものは滝滞て地となるの意にて、天地開闢と共に一理の神明とゞまり、天上地下尊卑へだてなく照し玉ふ心、仍て天てる国てると云、太祝詞は天児屋根命磐戸の前にて神祝(ほさき)し玉ふに起しことにて、今祓の惣名とはなれり、中臣祓にも天津祝詞のあり、是を正義直授(じきじゅ)の祓と云、其心ざす所を神へ申上るを太祝詞と云、爰にて祝詞を読あぐる故に此名あり、神詠は素戔嗚尊出雲国にて詠じ玉へし和歌なり。是哥(まま)道の根元三十一字の始にして尤伝秘のあること也、是を唱るるゆへに神詠とは云なり、歌はうつとふると云訓にて、古今集の序にも力をも入ずして天地をうごかし、目に見へた鬼神をもあはれと思はせ抔(など)しるせり、夫吾国は神道を以て世を治め、哥道を以て民を救の階たり、崇べし尊べし
◆参考文献
・「日本庶民文化史料集成 第1巻 神楽・舞楽」(芸能史研究会/編, 三一書房, 1974)p.346
・鷲宮催馬楽神楽パンフレット
記事を転載→「広小路」
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