鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽――八洲起源浮橋事之段
◆はじめに
この舞は未見である。埼玉県久喜市鷲宮の鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽の第六段「八洲起源浮橋事之段(やしまきげんうきはしわざのまい)」は舞台中央に橋を置き着面の二人による舞である。イザナギ命とイザナミ命を表わす。八洲とは日本の総称で、イザナギ命とイザナミ命の国生みの神話を題材としたものである。イザナギ命は太刀を携え白形、扇、鈴を持つ。イザナミ命は月形、扇、鈴を持って舞う。
歌 妹(いも)と我と いるさの山の 山あららぎ 手なとりふれぞや 香をかをすがにや 香をかをすがにや
◆武州鷲宮神楽資料
カタカナはひらがなに改めた。
第六 八洲起源浮橋事之舞 同二人
八洲とは大八洲と申て日本の惣名なり、起源とは其国々の濫觴(はしまり)を云 則ち陰陽神天浮橋に立玉へて国を求玉ふ、是日本の起也、古哥 海原におのころ嶋のあらはれて今天皇(すめらき)を御代ぞ久しき、恐くも阴阳(いんよう)両神を表せし舞なり、橋は不通を通する義、陰陽感通の処を云、夫婦の道は互に志を通ずること、両岸隔たる処へ橋を渡して往来するが如し、仍て子孫繁昌、或は開運を祈るに奏することあり、哥に、渡り見し方こそなけれ久方の天の浮はしかけ初てより、兼良公云、天の浮橋は今丹後州(くに)天の橋立是也、ニ神其上に立故に其名を得と云云、丹後風土記云与佐の郡に家あり、丑寅に速石里とあり、其里に長大崎と云あり、長二千二百二十九丈広さ九丈二尺、是を天の橋立と云、伝曰く四海静謐(ひつ)なる時は通せざる所へ橋をわたして通路するが如く、兆民何の愁もなく、天下泰平なるかたち又日月の行道を表したる舞なれは尤可慎む。
◆余談
八洲起源浮橋事之舞はゆったりとした動きの催馬楽神楽の中でも激しい動きを伴う舞だった。
◆参考文献
・「日本庶民文化史料集成 第1巻 神楽・舞楽」(芸能史研究会/編, 三一書房, 1974)p.347
・鷲宮催馬楽神楽パンフレット
記事を転載→「広小路」
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