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2019年12月17日 (火)

音楽家が書いた神楽本――三上敏視「新・神楽と出会う本 歌・楽器・お囃子」

三上敏視「新・神楽と出会う本」を読み終える。全国の神楽を幅広く見て回っている人で、後半では全国50か所の神楽が紹介される。二次元バーコードが添付されていて、スマートホン経由で動画にアクセスできるようになっている。

前半は神楽の基本的な知識について語られるので入門用の本としても読める。音楽家が書いた本だけに、音楽面の記述が充実している。

著者のポリシーとして、神楽歌の無い神楽は神楽と認めないそうだが、関東の里神楽では神楽歌は歌われない(あるにはあるらしいが)。広島県の芸北神楽の新舞もどうだったか。旧舞には台本にあるのだけど、新舞では台本に記述が無かったような気がする。

せり歌というのもあって、お囃子に合わせて観客が歌うのだとか。昔は若い男女の出会いの場ともなっていたそうである。意中の人めがけて恋の歌を歌うのだとか。

後半では全国50か所の神楽が紹介されるのだけど、八調子石見神楽は取り上げられなかった。音楽性については大元神楽の項で触れられている。BPM200に達するとのこと。ロックに近いノリだとし、若者に人気の一因だろうとしている。

芸北神楽に関しては取り上げられなかった。極めて現代的な神楽なので取り上げる意義はあると思うのだが。

他、石見神楽の笛はリコーダーの様に誰でも音が出せるように改良されているとのこと。ヒーロー笛という商標らしい。

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