国定教科書の産物――三浦佑之「浦島太郎の文学史」
三浦佑之「浦島太郎の文学史 恋愛小説の発生」(五柳書院)を読む。浦島太郎は民間伝承に起源を持つ口承文芸ではなく、中国の神仙小説に影響を受けた文学であるという内容の本。
我々が現在知る浦島太郎は巌谷小波の日本昔噺のものをベースにしていて、それが国定教科書に採用されることで普及したとのことである。
中世の御伽草子から巌谷小波の浦島太郎には、亀を解放してそのお礼に竜宮に招かれるという放生譚と報恩譚が見られるが、古代の浦島子にはそれは見られないとのことである。
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