入門書ではない――「構築主義とは何か」(上野千鶴子/編)
「構築主義とは何か」(上野千鶴子/編, 勁草書房, 2001)を読み終える。構築主義(構成主義)とは何か解説した本。主に社会学の分野における構築主義について書かれているが、文学、歴史、人類学、身体論などにも目を配っている。また、編者の上野千鶴子がフェミニズム学者であることから、フェミニズム、ジェンダー論への言及も多い。
正直なところ、僕自身、社会学やポスト構造主義などの分野に疎く、また、論文自体、高度な概念を駆使して論じられているので、書かれていることのほとんどが理解できなかった。まあ、一流大学の博士課程を出た人達が執筆しているので、頭の出来そのものが違うのである。
構築主義は日本では90年代に入ってから論じられるようになったようで、そういう意味では90年代初頭に社会に出た僕が知らなかったのは仕方のないことだろう。90年代というのは東側諸国が社会主義を放棄してマルクス主義の凋落が明らかになった時代でもあるが、この本では依然としてマルクス主義学者が強い意見を持っている。
<追記>
電子書籍版を購入して再度読んでみたが、やはり頭に入らなかった。理解を拒絶している感じ。そもそも限られた紙数に内容を盛り込み過ぎなのではないか。
一つだけ分かったことがある。構築主義は歴史実証主義には勝てないということである。
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