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2018年8月 6日 (月)

転倒、転倒、また転倒――柄谷行人「日本近代文学の起源」

柄谷行人「日本近代文学の起源」(講談社文芸文庫)を読む。明治時代以降の日本の文学史についてのポストモダン的評論集。書いてある文字は読めたが、意味がさっぱり取れなかった。転倒、転倒、また転倒。いくら何でも転倒が多過ぎじゃなかろうか。

例えば日本人は近代に至って私小説によって「内面」を発見したのだとしている。しかし、素朴な疑問としてそれは内面という概念が無かった。内面を縷々綴る術を知らなかっただけではないか。近代以前の人間に内面が無かったのならば、それは生物として進化したことになるが、そんなことはないのである。児童の発見くらいなら分かるが、何でも近代になって発見されたとするのは行き過ぎであろう。

何の作品か忘れたが、平安時代の女流日記文学に、夜這いで純潔を失って、まだ子供のままでいたかった……と述懐する作品がある。内心の発露が見られる。原文を読んだ訳ではないのだけど、該当する箇所はあるだろう。

 

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