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2018年7月29日 (日)

天の香具山を観る

Youtubeで中川戸神楽団の「天の香具山」を観る。「天の香具山」は天岩戸神話の裏ストーリーともいうべきもので、スサノオ命の暴虐を恐れた天照大神が天岩戸に籠ってしまい、世界が闇に閉ざされる。それを何とかしようとした八百万の神々が知恵を絞って、鏡や勾玉等色々と取り揃え、天の香具山の榊を根こじにしてお供えしようとしたところを山の神に見とがめられ、自分はこういう者でこれこれこういう訳で……と事情を説明し、承諾した山の神に宝剣を授け、山の神が宝剣で悪切り(四方を剣で薙ぎ払い悪魔祓い)するという内容のはずだが、期待していたそれとは異なっていた。

天の香具山に榊を取りに来た姫を悪神が襲って殺し奪ってしまう。それを大山祇神とアタツ姫(コノハナサクヤヒメ)が奪い帰すという内容に改変されていた。

「天の香具山」は出雲神楽風の悪切が見られ、新舞の中でも唯一神事性が感じられる演目なのだが、何でもバトルにしてしまうのは中国地方の能舞の悪弊かもしれない。

創作神楽の「天の香具山」では剣で祓う代わりに幣串で祓うという変化が見られる。これは剣がバトルで血塗られたという解釈からかもしれない。それにしても原義が失われたように思える。

中川戸神楽団はスーパー神楽で有名だが、彼らの考える創造性のために神事性を犠牲にしていると言えるだろう。

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