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2018年7月29日 (日)

ビックリマンの神話体系――大塚英志「物語消費論」「物語消費論改」

大塚英志「物語消費論」「物語消費論改」を読む。大塚はサブカルチャーに詳しい評論家・編集者・漫画原作者である。

物語消費とは、単に物語を消費するということではなく、物語の背後に隠れた<大きな物語>つまり世界観を楽しむということである。<大きな物語>世界観そのものは商品として成立しないので、消費者はその断片を消費して楽しむといったもの。

<大きな物語>という用語はポストモダンの言説らしいが出典は明らかにされていない。

端的な例として1980年代に流行ったロッテの「ビックリマンチョコ」が挙げられる。一個30円の安価なチョコレートであるが、これにシール一枚が添付されている。そのシールにはビックリマンの神話体系とでも呼べるような壮大な物語の断片が記されている。シールはランダムで770枚以上に及ぶ。子供たちがシールを集めていくことで徐々に世界観の全貌が明らかになっていくもの。

このように実際の売り物は神話の断片を記したシールだったため、本来の売り物であるチョコレートが捨てられて社会問題となったりした。

アニメやゲームなどのサブカルチャーでは作品世界を構築していく上で、作品世界の歴史や約束事を設定として予め定めていく。その設定の集合体が世界観と呼ばれる。世界観という用語自体は世界をどのように見るかといったニュアンスが含まれており、元々は人類学等の用語であるかもしれない。

70年代から80年代を経過していく中で、背景に壮大な世界観つまり<大きな物語>を持った作品群が登場してくる。「機動戦士ガンダム」シリーズが典型であろう。

一方で、ジブリ作品は「ナウシカ」以降、作品の背景に<大きな物語>壮大な世界観を設定するのを止めた作品づくりへとシフトしていくとこのことである。

ビックリマンの場合、開発者の反後四郎は元々ロッテの法務部門に勤めており、開発部門に異動してビックリマンを立ち上げたとのこと。子供の頃から仏教説話に親しんでいたらしい。ビックリマンチョコは僕自身は存在は知っているものの、当時大学生だったこともあって、購入したことはない。

こういう風に壮大な設定<大きな物語>そのものを売り物とすることはできないので、その断片を売るというマーケティングの手法もありうるということである。

WEBが発達した現在、我々は電話会社とプロバイダに料金を払えば、情報の発信は容易になっている。一方、それは物語の二次創作とも結びついて、新たな物語消費の形態を生んでいる……というのが大塚の言説である。

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