宮島の怪異と不思議な夢
雑誌「広島民俗」に栗原秀雄『「あやかし」―宮島町の口頭伝承から―』という世間話(※昔話、伝説に対する世間話)に関する論文が収録されている。何でも「あやかし」と呼ばれる正体不明の怪異が起きるらしい。厳島合戦で滅んだ陶晴賢配下の武将の亡霊だとも言う。宮島は聖域として特殊な歴史・習俗があったそうだが、不思議な話の舞台でもあるらしい。
実は小学生のとき修学旅行で宮島の旅館に一泊している。そのとき不思議な夢を見たのである。
旅館の一室で同級生たちと雑魚寝していたのだけど、夜中に目を覚まして体を起こすと、旅館とは異なる風景が見えていた。何か旧家の一室とでもいうのか、最初は土間のようなものが見えた。それから自分はどこにいるんだろうと思って箪笥に手を伸ばすと、手が箪笥を突き抜けた。
今思うに、何かの記憶に触れているようなものだったのだろう。自分はどこにいるんだと思っているうちに幻影は去った。これはただの夢であるかもしれない。しかし、夢にしては記憶がはっきり残っているのである。また、この不思議な体験をしたからといって、それから何かが起きたということはなかった。
夢というものは見た直後は憶えているけれど、時間が経つとどんな夢を見たのか記憶が薄れてしまう。ただ、この宮島で見た夢は未だにはっきりと憶えている。宮島にはそういうものを呼び覚ます何かが潜んでいるのかもしれない。
◆余談
ちなみに宮島の神様は非常に別嬪だそうである。宗像三女神だからさもありなん。
◆参考文献
・栗原秀雄『「あやかし」―宮島町の口頭伝承から―』「広島民俗」第37号(広島民俗学会, 1992)pp.9-29
・栗原秀雄『宮島の「世間話」(1)』「広島民俗」第62号(広島民俗学会, 2004)pp.18-33
・栗原秀雄『宮島の「世間話」(2)」「広島民俗」第63号(広島民俗学会, 2005)pp.22-41
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