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2017年11月19日 (日)

日本標準「秋田の伝説」「三重の伝説」を読む

国際子ども図書館に行く。

日本標準「秋田の伝説」を読む。田沢湖や十和田湖、八郎潟など、湖にまつわる龍の伝説が多い。「女の神様」(南秋田郡若美町)という伝説では、若美町鵜木の稲荷神社の神様は豊受姫命であるという。秋田らしくマタギの伝説もある。「阿計徒丸・阿計留丸・阿計志丸」(山本郡琴丘町・山本町/北秋田郡上小阿仁村)という蝦夷征伐の伝説はあるが、戦国時代の武将にまつわる伝説は少ない。狐の伝説は多く、稲荷神社にまつわる伝説は多いが、カッパの伝説は少ない。「鳥の海の干拓」(横手市)は鳥の海と呼ばれる湖の水を抜いて干拓する物語である。だいだらぼっちが仕事を手伝ったという。「ナマハゲと天のじゃく」(男鹿市)というナマハゲの伝説もある。小野小町の伝説もある。「モモうち小太郎」(仙北郡南外村)は桃太郎を思わせる。「義民 仁佐衛門」(由利郡鳥海町)は家老に年貢を三倍にされた百姓たちが江戸の殿様に直訴して年貢は今まで通りという書き付けをもらうが、家老の奸智で殿様の態度が変わり、追われる身となり、やがて裏切りにより討たれてしまう。「必殺!」シリーズでありそうな話。

日本標準「三重の伝説」を読む。「山の神と海の神」(尾鷲市)では山の神(田の神でもある)と海の神が出会って家来の数を自慢し合う。どちらも十二匹だったが、海からオコゼがやってきて山の神の負けとなった。それで山の神はオコゼを恨むようになった。矢の浜の人びとは山の神の祭りとなると、オコゼを懐に入れ、醜い魚だとオコゼを馬鹿にするようになった。それで山の神は安心して田畑を守る田の神になってくれるのだという伝説。「主人をすくった馬」(四日市市)ではウミノシロウマという海の魔物が津波を起こすとされている。「ウルシとり兄弟」(伊勢市)は龍の淵伝説タイプの話。「たかぼっさん」(北牟婁郡紀伊長島町)ではたかぼっさんというだいだらぼっちを思わせる海の巨人が登場する。この巨人、逃げ遅れた船を掴むと、ひしゃくで海水をすくって船にかけて沈めてしまう。そこで底の抜けたひしゃくを渡すようにしたという伝説。「一目連のいかり」(桑名郡多度町)と「多度祭りの由来」(桑名郡多度町)にみられるように多度社の一目連は信仰が深いようだ。「ヒヒ神サンキシン」(鳥羽市)は猿神退治のタイプの伝説だが、退治されたヒヒの祟りを恐れて、村人たちは娘の形をしたワラ人形を供えることにしたという結末となっている。「鬼が城」(熊野市)という熊野の鬼の伝説もある。「鬼が城」と「田村麻呂と鈴鹿峠の鬼女」は坂上田村麻呂将軍にまつわる伝説。白米城の伝説は三重にもある。アメノウズメノ命は天照大神が天岩戸に隠れたとき、鈴をつけた鉾を持って妖しく踊り、天照大神を岩戸から誘い出したが、その鈴は多度の神とその一族の鋳物師たちをこの地に招いて作らせたもので、「鈴所」と書いて「すずか」と読み、地名の起こりとなったとしている。「海女の話」(志摩郡志摩町/鳥羽市)では「ともかずき」という海女を誘い込む海の怪人の話が伝えられている。「阿漕の平治」は謡曲「阿漕」に連なる伝説。「椀久塚」は塚に椀を借りるというタイプの伝説だが、ここでは久右衛門というもののけじめをつける木地師がいて、亡くなった後、塚をたてて祀ったという伝説。三重なので伊勢参りのお話も多い。「流れついたイネの穂」(熊野市)では有馬村の海岸で釣りをしていたイザナギ命の許にイネの穂が流れ着いた。それを植えたところ、とても美味しい米となった。それからイネ作りが始まったという起源譚がある。「なつかし浦」(志摩郡浜島町)では豊玉姫命が蛇の姿になって御子を抱いていたのを土地の神様に見られて恥ずかしく思い「なつかし、なつかし」といって竜宮へ帰ってしまったという伝説もある。熊野市では徐福伝説もある。

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