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2017年11月11日 (土)

日本標準「長崎の伝説」「宮崎の伝説」を読む

国際子ども図書館で日本標準「長崎の伝説」を読む。キリシタンにまつわる伝説が多い。百合若大臣にはニセ主人公のモチーフが出てくる。名馬摺墨(するすみ)の伝説もある。白米城の伝説はなかったが、「牛が城」(壱岐郡勝本町)では、大量の牛を集めることで、牛が飼える水がまだ残っていると錯覚させて危機を逃れる話がある。「隆信さん」(北高来郡高来町)といって、竜造寺隆信という剛胆な大名の伝説が残されており、慕われていたことが伺える。

日本標準「宮崎の伝説」を読む。日向の地だけあって、神武天皇にまつわる伝説や、平家の落武者の伝説、百済の王の伝説などが残されている。「首のない男」(東臼杵郡北浦町)では、年貢の割付の変更を願い出たが、庄屋の太田尾源太兵衛が役人に賄賂を渡し、山伏に頼んで天野栄五郎という商人を陥れる。山伏の法力で口がきけなくなった栄五郎は自分が年貢を立て替えていることが言えず、年貢の割付の変更をそそのかした犯人とされてしまう。栄五郎は打ち首となってしまう。その後、首の無い栄五郎が源太兵衛に呪いをかけ、庄屋は潰れてしまったという伝説。島根の「弥九郎霧」と似た伝説である。また、全身にかさぶたの出来る病気にかかった和泉式部が全国を行脚、日本三薬師、最後に宮崎の法華岳薬師を参るが効き目がなく、「南無薬師 諸病悉除の願なれば 身より仏の名こそ惜しけれ」(せっかく薬師さまに願をかけてお参りしたのに、仏さまはどうしてわたしの病気をなおしてくれなかったのだろうか。わたしはじぶんの命よりも、仏さまの名まえがおしいような気がする)と歌を詠んで崖下に身を投じるが、白いあご髭を垂らした老僧が救う。そして和泉式部の病は平癒したという伝説がある。安政の頃の「メキシコ女王の宝物」(延岡市島野浦)も興味深い伝説である。

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