日本標準「東京の伝説」「山梨の伝説」を読む
東京都立多摩図書館に行き、日本標準の「東京の伝説」と「山梨の伝説」を読む。両方で5時間ほど掛かった。都立多摩図書館、立川から国分寺に移ったのだけど、フロアが広くなって利用者が増えていた。乗換が3回に増えたのは面倒。JR武蔵野線に乗るのは初めてか。いっそのこと武蔵野線でぐるっと一周、東京まで行ってみようか。
「源五郎岩と埋蔵金」西多摩郡檜原村の伝説が目に留まる。八王子城落城の後、檜原城を落とされた城主の平山伊賀守氏重が落ち延びようとしたところ、岩陰に隠れていた氏重を見つけた炭焼きの源五郎が檜原城の主と知って侍はここだと声をあげる。村人の裏切りに合った氏重はひとにらみで源五郎を岩にしてしまい、自害したという。
山梨にはやはり武田家にまつわる伝説が多い。白米城や名馬池月の伝説もある。また、「しずまない夕日」(都留市)という伝説があって、一町歩(約1ヘクタール)もある田んぼの田植えを一人一日で済ませたら、その田をやろうという長者の言葉を聞いた娘が(気が進まないものの断る訳にもいかず)田植えを行い、ついには沈みかけていた日を止めた。そうして田植えを見事終わらせたものの倒れてそのまま亡くなってしまったという。鳥取の湖山池の伝説に近い類話である。人さらいの話で読んでいて、能のような筋立てだと思ったら、実際に能の話であった伝説もある。
「山梨の伝説」では、山梨に流された親王の相手を務めていた男が上京、何とか目通りが叶うものの、下賜されたのが煙草だったという伝説がある。その煙草が実は非常に上物だったということなのだけど、これを読んで思い出したことがある。僕の父は国鉄の機関士で、お召し列車を運転したことがあるそうなのだけど、恩賜の煙草を貰ったそうだ。煙草だと吸ってしまったらなくなるので、何か後に残るものの方がいいような気もするのだけど、こういう伝説を読んで違う考え方もあることに気づかされる。
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