日本標準「北海道の伝説」「沖縄の伝説」を読む
上野の国際子ども図書館に行く。国立博物館の向こう側なので上野駅から少し歩く。資料の到着まで、やはり30分くらいかかる様なので、午前中には入らないと一日で二冊読むのは厳しいようだ。帰り、通路が分からなくて(ドアを壁だと思っていた)職員さんに訊く。
日本標準の「北海道の伝説」を読む。和人とアイヌのそれぞれの伝説が収められている。興味深いのは義経伝説で、蝦夷が島に逃れたとされる義経は、サマイクルというアイヌに生活文化を教えた神と同一視されたとされる。他、オキクルミというアイヌに生活の手段を伝えた神の伝説もある。また、コロポックルという小人の神の伝説もある。「チバシリ」という伝説は網走の地名説話だが、イガシと呼ばれる動物の声を聞くことのできる予言者が登場する。
日本標準「沖縄の伝説」を読む。御嶽(うたき)にまつわる伝説が多いが、御嶽が何なのか分からない。島々であることもあって、水不足に悩まされ、湧き水の伝説が多い。また、稲の起源として安南(ベトナム)や中国の福建省に由来する伝説がある。意外なところでは白米城に関する伝説もあった。また、女が卵を生んで、そこから十二人の子供が誕生したとする伝説「大主(うはるず)兄弟の神がみ」(平良市)や、津波で滅んだ村に取り残された兄妹が結婚して、しかし最初は蛇やトカゲが生まれ、三度目で子供が生まれる伝説「ブナゼー兄妹」(宮古郡多良間村)もあった。
また、琉球が中華王朝に朝貢して冊封体制下にあったお話として、中国からの使者に随行してきた中国人の横暴を誰も止められない、身体が大きく力が強いものが取り押さえたが、罪に問われかけるという話もあった。属国であることの悲哀である。
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