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2017年9月 7日 (木)

神楽祭文研究批判

井上隆弘「神楽祭文研究の方法について―岩田勝・山本ひろ子の所説を中心として―」「民俗芸能研究」と山本ひろ子「神楽の儀礼宇宙―大神楽から花祭へ(上)(中)(中の二)(下の一)(完)」「思想」を読む。

山本ひろ子「神楽の儀礼宇宙」は奥三河の花祭を取り上げた論文。花祭に関してはまだよく分からない。

井上隆弘「神楽祭文研究の方法について」は岩田勝・山本ひろ子という二人の神楽研究者――中世祭文に光を当てた二人――の研究を取り上げたもの。

岩田勝については著作を少しづつ読みはじめた段階だが、神楽の儀礼を大きく分けて託宣型と悪霊強制型に分類している。この内、悪霊の祟りを祓う祭文として土公祭文を挙げているが、祟る地霊としての土公神を鎮めるモチーフだけでなく、井上論文では陰陽五行思想による世界の再生と更新のモチーフを挙げて反証している。

祟る神を鎮める鎮めのモチーフだけで全てを説明しようとすると、例えば天岩戸神話の解釈等で微妙な点が出てくるので、批判はありなのかなとも思う。

山本ひろ子の業績に関しては祭文を儀礼の場から分離してテキストのみの解釈に絞っている研究が多いのだろうか。祭文の場合、儀礼と一体化しており、その文脈で読まねばという方法論と対立するようだ。

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