悪問の記憶――ユングのシンクロニシティ
秋山さと子「ユングの心理学」(講談社現代新書)を読む。学生のときに買って今まで積読だった本。なぜ手を出さなかったのか分からないが、200ページほどだし、読みはじめると一気に読んでしまった。
これまで全くの無縁ということもなくて、神話の解釈や創作論で元型(アーキタイプ)という概念には触れていた。グレートマザーや老賢人、トリックスターなど。リンダ・シガー「ハリウッド・リライティング・バイブル」という脚本についての本では、ドラマに神話的要素を盛り込むという目的で、元型の幾つかが援用されていた。
残念なのはシンクロニシティ(共時性)についての記述が少なかったこと。高校生のとき、模試の現代文でユングのシンクロニシティをとりあげた(と記憶ではそう推測している)問題が出て、面食らったことがある。具体的な内容は忘れてしまったが、オカルトとも言えなくもない内容で、今振り返っても悪問だと思う。今なら国語の教師に「これ、なんです?」と質問することを思いつくのだが、当時はそういうこともなく流してしまった。
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