もったいない話
哲学者の中村雄二郎・明治大学名誉教授が亡くなったとの報に接する。僕の通っていた大学・学部の先生である。法学入門は中村教授の講義だった。今でも記憶しているのは、母国語で法律を運営できる国は意外と少ないということであった。日本語の場合、漢字かな交じり文で高度な概念も操れるということなのだろう。他、外国人は日本語と韓国語を同時に学習する人が多いなど。そのときは日本を代表する哲学者だとは知らなかった。
間違いなく日本を代表する哲学者なのだけど、なぜか講義は参考書を読むだけで下手だった。なので、学生人気は低いというのか、講堂はがらんとしていた。今思ってももったいない話である。
一度、編集者らしき人に中村先生はどこか声をかけられたことがあった。学生人気に関わらず、編集者の信頼度は非常に高かったのだと思う。
僕自身は結局、岩波新書の「術語集」くらいしか通読していない。そういう意味では合わなかったのだが、これももったいない話である。
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