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2017年7月25日 (火)

日本標準「神奈川の伝説」を読む

日本標準「神奈川の伝説」を読む。横浜市立図書館で借りてきたもの。島根県以外のシリーズを読むのは初めて。自分の住んでいる身の回りの伝説だけど、兵庫県にいたときに地元のを読んでおけばよかったと思う。

神奈川県ということもあって鎌倉武士に関する伝説が多い。「曾我兄弟」が収録されている。他、「坂田金時」や『名馬「生唼(いけずき)」と「磨墨(するすみ)」という名馬池月に関する伝説も収録されている。全国に分布していると思しき伝説では「白米城」がある。

大蛇の伝説も多い。「池子の大蛇」という逗子市の伝説では七つの頭を持つ大蛇を六人の郷士が退治する話があるが、酒樽に入れた酒を大蛇に飲ませ酔わせて退治するという、八岐大蛇神話と類似する伝説であった。ただ、神話と違うのは、大蛇を退治した六人の郷士たちは退治された大蛇の祟りで亡くなってしまうのである。

田舎である島根と違って、神奈川県は東京のベッドタウンとして発展したこともあって、伝説の舞台が開発で失われたケースも多いようだ。

神奈川県に住んで長いのだけど、点と線でしか移動しておらず、横浜と川崎の一部しか知らない。お寺にまつわる伝説が多いので、お寺を探して歩けば、伝説の舞台に足を運ぶこともできるかもしれない。

日本標準の各県の伝説シリーズの美点は挿絵や写真が多いことで、実際に伝説がその場で語り継がれていることを実感させ良い作品群だと思うけど、再販されていないのが残念。

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