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2015年6月14日 (日)

井野と弥九郎霧

◆弥九郎霧

「島根の伝説」(日本標準)に収録された「弥九郎霧」という伝説がある(28-35P)。

 三隅町井野に「弥九郎霧」という伝説がある。紙漉き職人の弥九郎が義憤から庄屋の不正を訴えるが、いざ代官の前で申し開きというときに大麻山の坊さんの法力で口封じをされてしまう。結果、讒言として火刑に処せられてしまうというお話。
 弥九郎の死後、井野は深い霧に覆われるようになり、庄屋たちは家が絶えてしまったという。

浜田市三隅町井野の棚田
井野の棚田
井野の棚田
井野の棚田
井野の棚田

 大麻山の寺はおそらく尊勝寺だろう。碑や墓の写真があるので史実に基づいているようだ。

大麻山の庭園
大麻山・尊勝寺庫裏跡・解説
大麻山・尊勝寺庫裏跡の庭園

「石見の民話」(未来社)に収録された「弥九郎霧」では庄屋が狐をつけて舌を動かせなかったからと説明されている。「島根の伝説」では大麻山に不思議な力を持った僧侶がいたことになっている。

「島根の伝説」では女の髪を漉き込んだ和紙を作り、津和野藩から咎められるといったくだりがある。

 「出雲・石見の伝説」(角川書店)に「石見の和紙哀話」(156-170P)という類話があり、日原の話だが、そこでは和紙に白髪を入れて漉くという内容となっている。いずれも津和野藩の話となっている。

◆余談

 碑や墓の在処が分からないまま記事にする。車で三隅町室谷~井野にかけてぐるっと一周したので、近くは通っているのではないかと思う。
※「石見の民話」(未来社)によると、井野村小原の柚ノ木郷とあるので違うかもしれない。

 浜田市教育委員会に問い合わせれば、碑や墓の位置が分かるかもしれない。
 寺井実郎「三隅地方の神話と伝説」に依ると、弥九郎の実在は定かではないようである。「三隅地方の神話と伝説」では井野の小原にある墓にかかれている柚ノ木役労の名をつかったとある。また、小原小学校裏の高手に役労の墓があるが近年に建てられたものだとしている。戒名は「大道無心大居士」とのこと。(66-67P)

 実際には激しく緊張してしどろもどろになってしまったというところだろうか。そういう経験は何度もしている。なので、最近は電子メールで済ませることが多くなった。そればかりでもいけないのだけれども。

◆参考文献

・「出雲・石見の伝説 日本の伝説48」(酒井董美, 萩坂昇, 角川書店, 1980)
・「石見の民話 第二集」(大庭良美/編著, 未来社, 1978)
・「島根の伝説」(島根県小・中学校国語教育研究会/編, 日本標準, 1981)pp.28-35
・「三隅地方の神話と伝説」(寺井実郎/編, 三隅時報社, 1960)
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)pp.256-258.

記事を転載 →「広小路」(※一部改変あり)

 

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