創作

2026年2月 1日 (日)

今後は同時並行作業となるだろう――山川健一, 今井昭彦, 葦沢かもめ『小説を書く人のAI活用術 AIとの対話で物語のアイデアが広がる』

山川健一, 今井昭彦, 葦沢かもめ『小説を書く人のAI活用術 AIとの対話で物語のアイデアが広がる』を読む。AIを利用して小説を執筆しているプロを取り上げた記事を読んだことがある。一人は、AIに幾つか案をアウトプットさせて、その中から自分に合ったものを選ぶといった使い方だった。もう一人は2000字ほどの掌編だったか、思い通りに仕上げるためプロンプトのボリュームが20万字ほどまで至ったといった内容だった。

思ったのは、そういった人たちは自分の脳内に疑似的な脳内LLM状の何かが既に構築されていて、それと照らし合わせて己の審美眼で選別しているのではないかということ。

新しいツールで試行錯誤するのは若い人の特権なので一概に否定するつもりはない。むしろ、これからはプロンプトに習熟することと自身の脳内LLMを構築していくことを並行して行っていかなければならないだろう。

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2026年1月29日 (木)

島根出身の千葉ロッテの中継ぎ投手――山陰中央新報より

【動画】千葉ロッテ・高野脩汰 パ・リーグ代表するセットアッパー 緊急登板が変えた未来 STAGE~私の現在地(上)~
https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/935983
千葉ロッテ・高野脩汰 「チェスト投げ」、出雲商時代に原点 活躍と故障のはざまでもがく STAGE~私の現在地(中)~
https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/935997
千葉ロッテ・高野脩汰 敏腕トレーナーと出会い 意識を変え、心身ともに成長 STAGE~私の現在地(下)~
https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/936442

山陰中央新報の記事。セットアッパー、最近の野球用語がよく分からないけど、勝敗を分ける重要な局面で起用される中継ぎ投手のことらしい。

要約すると、中学までは凡庸な投手だったが、高校生のとき甲子園大会をテレビで見てある投手の独特な投球フォームが印象に残った。それを真似してみたところ自分に合った投げ方だった。そこから頭角を現しはじめる。甲子園出場は逃したものの、スカウトの目にとまり関西の大学に進学した。大学時代は「打ち方が分からない」と言わしめたたとのこと。ただ、当時は才能任せでまた投球フォームが肉体面で負荷がかかるものだったこともありドラフトでの指名から外れてしまう。社会人野球の道に進んだが、そこでトレーナーから体幹トレーニングの重要性を学び、体重が60㎏台から80㎏台へと大幅にアップした。またバント処理などのフィールディングについても周囲から学び技術を向上させた。それがプロ入りの結果に繋がった……といったような内容である。

プロスポーツの世界には無数のドラマがあることが窺える記事。日頃観戦しているファンだと詳しいのだろうけど、僕はテレビすら持っていない現状なので。

スーパースターだけが主役ではないとも言えるか。少年漫画だとどうしても全国大会を目指して勝ち上がっていくというストーリーが求められてしまうだろうけれど、青年誌ならこういった方向性のストーリーもあり得るだろう。まあ、でも「ボールパークでつかまえて!」くらいが落としどころなのかもしれない。あれも千葉ロッテがモデルだろうし。

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2026年1月19日 (月)

インディーズ系ゲームは残り少ない領域か――兎野卵『微笑もて正義を為せ: TXT06 内省的思考ログ』

兎野卵『微笑もて正義を為せ: TXT06 内省的思考ログ』を読む。著者氏はインディーズ系というかゲームの開発を考えているようだ。個人開発のゲームは生成AIに浸食され難い数少ない領域と言えるかもしれない。コーディングはAIに任せられる部分も増えているだろう。個々人の企画力や全体をまとめるパッケージング能力が発揮される分野となるかもしれない。

しかし、こうも生成AIを利用した投稿が増えると、むしろ有料化した方が歯止めになるのかもしれないと思うようになった。ニコニコ動画は無料だとアップロードできる動画数に制限があって馬鹿げた制約だと感じていたが、野放図な投稿はいずれアタリショックのようなものをもたらす可能性も高かろう。

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2025年12月11日 (木)

やはり小説には縦書きが向いているか

過去に書いた小説もどきをEPUB形式にしてプレビューワーで読んでみたら、思ってたほど支離滅裂ではなかった。美文ではないけれど、それは娯楽小説ではそこまで追求されていないし。

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2025年6月17日 (火)

初めてレビューコメントがつく

Amazonで出している電子書籍に初めてコメントがついた。裏の名義の方。星2つと低評価なので(※キワモノで好意的にみても星3つが限界だと思うが)厳しい内容かと思ったら、特にそうでもなかった。皮肉に皮肉で返したとも読めなくもないけれど、レビュアーさんが何を感じたのか、意図はよく分からない。

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2025年6月16日 (月)

何も書くことがなくなってからが勝負――筒井康隆『創作の極意と掟』

筒井康隆『創作の極意と掟』を読む。指南書として書かれたものではないそうだが、大御所の手になるものなので説得力は段違いである。

僕自身は熱心な読者ではなかったのだけど、通読すると、筒井氏が文学上の実験に心を砕き続けてきたことが分かる。ただ、その実験に面白さが伴っていたから現在まで読み継がれているのが本当のところだろう。実験するだけでは一時的にはともかく長期的には忘れ去られてしまうはずだ。

「作家は何も書くことがなくなってからが勝負」というフレーズになるほどと思う。僕自身、創作は試みた時期があって、結局ネタ切れを起こしてそれ以降書けなくなってしまった。創作以外の書き物は続けているので虚無に陥った訳ではないし、インプットもできる範囲で心がけてはいるのだけど、それらしきお話は未だに思いつかない。

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2025年5月 8日 (木)

精神分析と美学――筒井康隆『着想の技術』

筒井康隆『着想の技術』を読む。本書に収録されている記事の初出はいずれも昭和。僕は小説読みではないのでよく知らないが、実際に実現可能な実験的手法は筒井氏辺りの世代がやり尽くしてしまったのかもしれない。

筒井氏は大学で美学を専攻されたようで、卒論は美学と精神分析とを絡めて論じたものだったそうだ。美学はアートへ、心理学はフロイトやユングからは離れてしまったようだけれど、文学の解釈という面ではあまり変化していないかもしれない。

昭和の時代の大御所の話らしく豪快だなと思ったのは、ミレーの画を個人で購入したというエピソード。僕の実家には昔「落穂拾い」の複製写真が額縁に入れられて飾られていた。子供の頃の僕はそれを見て、その絵が最高のものだと何故か思い込んでいた。

夢分析のくだりは長く面白くないと感じた。本来はちょっとずつ連載されていたのだろうけれど、まとめて出されると、他人の夢というものは筒井氏ほどの手練れの作家でもそのままでは面白くはならないようだ。

ハイライトでメモしたのは、「バルザック的細密描写が写真や映画にとって替られて以来、」という箇所。たまたまちょっと前に「サラジーヌ」という中編を読んであまりの描写の濃さに却ってストーリーを追う阻害要因となってしまっているように感じたから。

あと、「この某中村とうようという人は文章には平気で他人の悪口を書き、その人と会ってもまるで悪口など書かなかったかのようにやっぱり平気、やあやあという調子で話しかけるというので有名な人である。」という箇所。少々分析した後で田舎者と切り捨てている。音楽評論家の中村氏はミュージックマガジンという自分の媒体を持っていたし、何か書いたからといって今と違って炎上する時代ではなかったから、無頓着でいられたのだろう。

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2025年2月24日 (月)

再読する――兎野卵:『TXT01』~『TXT05』

兎野卵というKindle作家の創作に関する随想集『TXT01』~『TXT05』までを再読する。約70万字の大ボリューム。

兎野氏は漫画で商業誌に掲載された経験がある。連載には至らなかったそうだが、短編を収録した単行本は刊行されており、れっきとした商業作家である。ただ、現在は成功を目指す競争のステージからは下りていると明言している。

現在ならアプリで連載という形式も普及して、そこからヒット作も出てきているので、時代のめぐり合わせが悪かった面もあるかもしれない。

一気に読み返して思ったが、著者氏は突出こそしていないかもしれないが、結構なハイスペックの持ち主なのである。一流大学の建築科を出ている。建築科ではデッサン必須だろう。絵に対する技能は高いと推測される。デジタルの描画ツールも問題なく使いこなせるだろう。一眼レフを所有しており、そちら方面の知識とスキルもある。写真趣味があるということは、作画のための資料収集の側面もあるかもしれないが、外出する動機も持ち合わせている。音楽についても、楽器が弾け作曲もできるそうだ。文章についても自己を客観視できており、中庸さを維持するよう自己抑制しつつ、大量にアウトプットし続けている。背景にある知識量も相当なものと推測される。プログラミングもできるらしい。料理もできる。マルチな才能とまではいかなくとも、並みの人よりできる幅が広い。現代社会で有利なスキルは十分以上に持ち合わせている。現在は都市に在住しているそうだが、実家は別にあるらしい。そこが田舎なのかまでは分からない。単に関西圏というだけかもしれない。

著者氏の目下の悩みは、自身で納得のいく作品が描けていないことのようだ。何か欠落がありそれが原因ではないかと考えているのかもしれない。生涯のモチーフ、人生の杖、メタファーといったキーワードがそれらを示唆している。そういった指針となるものを渇望している。

非才の僕からすると、むしろ才能、スキル、知見、人脈とも他人より恵まれている。使いこなせるツールもあるし、インドア派ではあるもののアウトドアにも出かけている。思いつく限りの要素を考慮し、自身でほぼ解答にたどり着いている。穴となっているジャンルはあるかもしれないが、それは誰にでもあることで問題とはならないだろう。

こうなると運か偶然の要素が大きいのかもしれないが、運を引き寄せるための努力も欠かしていないようだ。これ以上何をすればいいのかと傍目からも思う。

むしろ、本人の資質と人生の指針となるメタファーが上手くマッチすることが稀なのかもしれない。ちなみに、偶然は案外馬鹿にならない。

創作の才能とハイスペックさにどこまで相関関係があるのか。ある程度はありそうだが、強い相関関係ではないのかもしれない。僕の義兄は専業の漫画原作者/小説家で、マイナー誌ではあるが週刊連載1000回を達成した。そういう意味で代表作はある。だが、特にハイスペックという訳ではない。

また、義兄は漫画原作では医療ものを書いていたのだが、現在は時代小説にシフトしつつある。これは本人が歴史好きだからだが、時代小説は年配の作者でも読者に受容され易いという理由もあるだろう。人生のステージに応じてジャンルをシフトしていくことも時に必要だろう。

<追記>
ルーチンワーク、
・ルーチンワークに落とし込むことで手順を確立させる
・ルーチンワーク化させる過程で努力していることを意識させなくなる
……といった方向性にもっていける。その過程で試行錯誤することでTipsというかちょっとしたノウハウが身についていくし、漠然とした想いが浮かび、それを膨らませていくことも場合によってはできる。

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2024年10月11日 (金)

星がつく

Amazonで無料配布してる創作本、一冊は星二つ、もう一冊は星五つをつけられる。いきなり星一つでなくて良かった。同時に星がついたようなので同じ人かもしれない。無料で配布してるのに星二つということは「時間を返せ!」かもしれない。それはそれで最後まで読んでくれてありがとうございますではあるのだけど。まあ、あれはいわく付きの作品でしてね……

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2024年8月17日 (土)

構造は骨格に過ぎない――兎野卵『「好き」を言語化する:フィクション編』

兎野卵『「好き」を言語化する:フィクション編』を読む。本書で挙げられる作品、筆者はタイトルこそ知っているものの、読んだことのないものが多い。ジェネレーション・ギャップかもしれない。漫画読みと呼ばれるためには一万冊くらい読破しなければならないのだろうかと考えたことはある。

著者は作品の構造分析を行っていた時期があるものの、それは骨格に過ぎず、自分の「好き」を言語化、そしてその解像度を上げる必要があると考えるに至った。それで実際にどんな要素が好みか列挙していったのが本作である。

仮に好きだと思う作品に出会ったとして、そこから得たものが一滴のエッセンスとなって降りてくるまでには数年以上かかる。それだけ待ってようやくオマージュしたと胸を張って言える作品が書けるようになる。焦って書き急ぐと影響されたのが露骨に分かる不出来さとなってしまうのである。余計なことは忘れるのも大事なのである。

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