源氏

2013年4月 7日 (日)

みやすンどころ

花園あずき「はやげん!」(新書館)を読了。読んでみて、源氏の世界を理解していなかったことが分かった(赤っ恥)。

女三宮のくだりなんかはうっすらと憶えているのだけど、登場人物の相関図をしっかり把握しないまま読み進めてしまったようだ。この人誰だったっけ? という人物が結構いる。

夕顔=肉食系女子なんて思いも寄らなかったというか、そういう風にキャラづけして印象づける。登場人物の心情は作者さんが補っている部分が多々あるのだろう。

昔読んだ田辺源氏を繰り返し読めばよかったのだし、他の作品にも当たって読み比べてみれば色々分かっただろう。著者がどこに力点を置いているか、はっきり差がでるものだし。

たとえば、田辺源氏では女三の宮にはあまり触れていないけど(お聖さん自身が興味・関心が薄いのだろう)、「はやげん!」では身ごもり出産することで急激な精神的成長を遂げる魅力的な女性として描かれている。

宇治十帖の粗筋に触れるのは多分今回が初めて。

御息所の読みは「みやすどころ」となっている。以前、義兄が出崎監督のアニメ版を見て「みやすんどころ」だろうと力説していた。最近は変わったのだろうか。広辞苑にはどちらも収録されていたのだけど、「ミヤスミドコロ」の音便なので「みやすんどころ」の方が語呂が良いような気はする。

僕自身は六条御息所が魅力的に映る……自分も誰かから嫉妬されてみたいわ!だけど、実際されたら疎んじてしまうものなのだろう。

末摘花はひょっとすると現代だと目鼻立ちのぱっちりした人で美人とされる様な気もする。

余談。
昔の人は毎日沐浴していた訳ではないので、香を焚きしめた衣服で体臭を誤魔化していた。なので、匂いで誰か分かる……みたいなことを古典の授業で聴いた記憶がある。

<追記>
Amazonのレビューを読んで、田辺聖子「新源氏物語」は桐壺・帚木の帖を飛ばして空蝉から始めていると知る。

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2013年4月 4日 (木)

はやよみ源氏

花園あずき「はやげん!」(新書館)
はやよみ源氏物語。試し読み版が「ひらり、」vol.9の附録として挟まれている。

「宇治十帖を含めた『源氏物語』全五十四帖がたった一冊の漫画で読める」
これを読めばあなたも明日から知ったかぶれる!!

こんな人にオススメ
1.「源氏物語」全話を読んだつもりになりたい人
2.興味はあるけど長くてむずかしいのでくじけそうな人
3.“古典”という文字を見るだけで寝てしまうという人

と謳っている。

実際、源氏物語は漫画でも現代語訳でも何でもいいからとにかく読んで粗筋を押えておくのが古文のテスト対策だろう。

読めるのは桐壺の7P分。登場人物は桐壺帝、桐壺の更衣、弘徽殿の女御、光源氏、藤壺、葵の上。

元服した光源氏が藤壺と隔てられてしまうくだりは記憶になかった(多分読み飛ばした)。御簾一枚で隔てられただけ、でもそれは絶対に届かない距離。絵だと一瞬で理解できる(※スミマセン、漫画やアニメは未見です)。

そういう要所要所を上手くピックアップしているのだと思う。絵柄も可愛い。久しぶりに読んでみようかなという気になる。

そのうち5分アニメ化されそうな印象。……いや、正味3分くらいだとカツカツか。

ウンポコWEB
http://www.shinshokan.com/webunpoco/
1話がWEBで無料配信中。

<追記>
Amazonのレビューを読んで、田辺聖子「新源氏物語」は桐壺・帚木の帖を飛ばして空蝉から始めていると知る。

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エッセイを選んでしまった

田辺聖子「求婚旅行」(文春文庫)。姉の書棚に置かれていたのを読んだのだけど、なぜか気に入って何度か読み返している。上中下巻と1000ページを超える長編で、今はもう読めないだろう。

ヒロインは大阪のいいところのお嬢さんでOLだけど、良縁に恵まれず婚期を逃すギリギリの年齢。そんな彼女がやもめ暮しで娘二人を抱えた男性と出会って……という粗筋。

「細雪」を読もうとして、「求婚旅行」は「細雪」のオマージュというかどことなく似た雰囲気があると想起した。実際「細雪」から受けた影響に関してはおせいさん自身が折に触れて書いている。

「求婚旅行」を読んだ後、小説ではなくエッセイを好んで読んだ。カモカのおっちゃん(旦那さんがモデルとされている)とおせいさんのダイアローグ形式で書かれていて、偏った視点にならない様工夫が凝らされていた。最近は書店でも見かけることが少なくなった。

田辺さんは「源氏物語」だと末摘花が好きだったか、やはり何度か書いている。源氏物語の登場人物で誰が好きか、これで色々分類できるのだろうけど、生憎とそこまで詳しくない。田辺さんも割と紫式部的に一歩引いて俯瞰できる視点の持ち主だと思う。

……ということで、僕の一般文芸の知識は数十年前くらいで止まっている。社会人になって己のあまりのモノの知らなさ加減に気づいて、フィクションを読んでいる場合ではないと舵を切ったため。幾つか読み続けたジャンルもあるけど現代物はさっぱり。

「細雪」は結局頓挫してしまった。若い頃なら読めたかもしれないので、残念。

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迷ったら、原点回帰

30年の時を超えた伝説的ヒロイン“ラムちゃん”『うる星やつら』が愛される3つのワケ
http://www.cyzo.com/2013/03/post_12916.html

僕が「うる星やつら」に触れたのはアニメ本放送時から。つい最近「うる星」の連載開始時期が「マカロニほうれん荘」と重なっていたことを知り、驚いた。原作漫画を通読したのは学生のとき。中々揃わなくてあちこちの書店を巡ったことを憶えている。結局、引っ越しのドタバタで処分してしまったのが今となっては残念。ちなみにアニメ映画は未見。

実は二次元の絵では何とも思わなかった。外国でラムちゃんのコスプレをしているファンの写真を見て「どこが琴線に触れたのだろう?」と首を捻ったのだけど、その後実際に半裸の若い女性を見たとき、素肌の艶めかしさにびっくりした。え?どこで見たのかって?

主人公の諸星あたるは元は不幸を招き寄せる体質の受け身な男の子だったのだけど、比較的早い段階で自分から積極的にアタックしていく男の子へと変貌した(ラムはあたるの暴走を止める役)。これが作品が長続きした理由の一つだと思う。

「めぞん一刻」を読んで思ったのだけど、作者の高橋留美子は「源氏物語」の紫式部と似たタイプなのかもしれない。普通の女性なら受け入れがたいはずの「男のどうしようもない性(さが)」を一旦受け止め、それを愛おしみをこめて描き直す。そういうタイプの女流作家が男女どちらからも支持されるのではないかと思う。

……といっても僕が読んだのは田辺聖子版源氏で、最初の方はかなり砕けた感じで書かれている。

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