男の子の必読書?
宮崎駿監督の「風立ちぬ」は未だ観ていないのだけど、堀越次郎は戦闘機だけでなく、戦後は日本初の国産旅客機YS-11の開発にも携わっている。YS-11と新幹線の開発史は日本人の男の子にとって必読書だろう。
高橋団吉「新幹線をつくった男 島秀雄物語」
この本は島秀雄という鉄道技術者を通して描いた日本の鉄道開発史。「新幹線をつくった男」というタイトルだけど、実は蒸気機関車のD51(愛称:デゴイチ)について多くページが割かれていて、湘南電車と呼ばれる80系についてはそれほど紙数を割いていない。
日本の鉄道史は狭軌を選択してしまったことが後々まで尾を引いている。狭軌から標準軌に一気に変える構想があったらしいが実現に至っていない。戦前には弾丸列車の計画がスタートする。
もう一つ日本の国土が抱える問題。大陸に比べて日本の地盤は弱く軸重を大きくとることができない。
軸重。鉄道模型を裏返してみれば分かり易いけれど、鉄道列車は左右の車輪を一本の太い車軸で繋いでいる。大抵の場合、列車には前後に台車が配置され、一つの台車は2軸で構成される。つまり、4本の車軸で車両、乗客、貨物の重量を受け止めていることになる。
この軸重が大きくとれないという問題を新幹線では電車形式、(現在は一部例外があるが)全ての車両がモーターで駆動するオールM編成とすることで解決した。
唯一、予測できなかったのが降雪対策だったそうで、今でも関ヶ原の積雪時は遅れが発生したりする。東北・上越新幹線でこの問題は解決される。
新幹線とD51が併存していた時期もあって、今から思うと不思議な感じもする。山陰本線は最後までD51が走っていた路線で、最後の走行はうちの地元から米子へ向けたものであった。残念ながら蒸気機関車の記憶はない。
余談。
兵庫県の加古川バイパスは元々は弾丸列車計画で用地買収されていたものだとか。早い段階で高速道路が開通したのだけど、その分設計が古く、流入路が非常に短くて事故が多い。