再評価すべき真っ当な冒険譚――大草原の小さな天使 ブッシュベイビー
「大草原の小さな天使 ブッシュベイビー」総集編のビデオを見る。一巻あたり95分ほどなので、4.5話くらいのボリュームか。全四巻で16~18話分くらいのボリュームに再編集されている。
数年前にバンダイチャンネルで通して視聴したのだけど、改めて見返してみて、東アフリカの大自然を背景にした少女の冒険譚としてよく出来ているという印象。舞台はケニア。植民地支配から独立したばかりで、支配層だった白人たちは追い出されていくことになる。野生動物を軸に野生動物保護官と密猟者との対立、支配者であった白人と被支配者であった黒人の対立図式が物語の中に織り込まれている。基本的にはヒロインであるジャッキーが母を亡くした赤ん坊のガラゴ(ブッシュベイビー)を兄から譲ってもらったところから始まる。
原作ではマーフォーはイギリスに渡る結末だったので、アニメでは大幅に改変されたストーリーとなっている。トラブルメーカーのミッキーは実は原作ではジャッキーの弟だったりする。冒険の旅に出たジャッキーを守護するのは軍人出身で野生動物保護官であるジャッキーの父の助手を務めるカンバ族出身のテンボ。ジャッキーの父をリスペクトしており、ジャッキーに対しては「お嬢さん」といった立場を崩さない。
名劇後期の作品だとロミオなんかの人気が高いけど、ブッシュベイビーももっと評価されていい作品かもしれない。原作ありとはいえ、現実世界で現地の習俗や気候、生態系、社会問題などを織り込んだ真っ当な冒険譚を構築・展開しているので、ファンタジー系の創作を志す人は参考までに見てもいいかもしれない。