長年の懸案事項:幻の作品を鑑賞する――わたしとわたし ふたりのロッテ
「わたしとわたし ふたりのロッテ」を全話視聴する。この作品、本放送後にセルビデオは販売されたものの、LDは発売されなかった。再放送はNHK BSで一度されたきりらしい。DVD化といったデジタルリマスターがなされた形跡もうかがえない。……といった訳で現在では幻の作品と化している。理由は分からない。実写版の映画のDVDは普通に発売されている。噂レベルならネットに書き込まれているが、裏付けがとれないので本当のところは分からない。
平成初期の作品だが、テレビアニメとしてはハイレベルな作画である(※音声はモノラルとのこと)。「おちゃめなふたご」「わたしとわたし」「ぼくのパトラッシュ」の三作は三井不動産の提供によるものだったか。僕も本放送時に見たのはおちゃめのみなので正確には知らない。当時の同人誌によると、三井のお偉いさんの孫娘さんに良質の作品を見せたいというところから始まった企画とのこと。
一応原作も読んでいる。二十数年ぶりに見返してみると、ロッテはまだ10歳なのに家事を完璧にこなしている。小さな主婦さんという愛称は原作にもあったか。またピアニストとしての将来を嘱望されてもいる。原作ではピアノをぎこちなく弾いているとあった。ロッテは完璧すぎるきらいがなきにしもあらずだが、ルイーゼは年頃の女の子らしく描かれている。
本放送当時はまだパソコン通信が主流の時代だった。当時のログを読むと、アニメの時代設定は1940年代で、戦争が起きなかった世界線かもしれないと考察されていたのだったか。パルフィー氏のモデルはマーラーだとか。
著作権が切れるのは20年後くらいらしい。僕はそこまで生きている気がしないので、今回長年の懸案事項を一つ処理できてよかった。20年後には再認知、再評価される流れとなるかもしれない。