フェイク(偽物)に対するアンサー(ネタバレあり)――らーめん再遊記
「らーめん再遊記」(久部緑郎・河合単)を電子書籍版で最新巻まで読む。作中のセリフで芹沢の年齢が50代であることが分かる。芹沢というか原作者の趣味だろうが、どう考えても僕と同じくらいの世代としか思えなかったので得心がいく。漫画なので見た目は少し若く描かれているような印象はある。当初40代くらいの年齢だと思っていた。
……以下ネタバレあり。
10巻に「現代の大衆文化において、どうして偽物のほうが大きな人気を獲得するケースが多いのか?」というセリフがあった。偽物には「フェイク」とルビが振ってある。これがこの作品の核心的なテーマだろう。
例として挙げられている一つがプロレス。格闘技のフェイクと位置づけられている。実際、オリンピックなどで柔道やレスリングの試合を見れば分かるが、一瞬も気を抜けない展開で勝負は一瞬でつく。テレビだとクローズアップされた画像がスローモーションで再生されるから何が起きたのか分かるが、それが無かったら、僕のような動体視力の低い人間には何が起きているか分からないかもしれない。プロレスは本来は間をとって技を大きくゆっくりと見せるものなのである。技を受ける方も無理に逆らわない。逆らうと逆に怪我をするリスクが高まるのである。
90年代に総合格闘技が台頭してきて、プロレスラーはその当て馬にされた。惨敗したレスラーも多かった。そんな訳で失望して去ったファンも多かったのではないかと思うが、その後、プロレスはエンタメ路線に舵を切って何とか生き延びている。僕の世代からすると、「ストロングスタイルvsショーマンスタイル」の不毛で空虚な論争は何だったのだという想いはあるが。
で、芹沢はその疑問に対する考察として「そのジャンルがもっとも活性化し人気が更に拡大するのは、そうした偽物から脱皮し本物になろうとあがく過渡期にあるんじゃないかということだ。」というセリフを持ち出す。そして過去に遡ってしまうが、「才遊記」のラストで芹沢は「ラーメンとは…フェイクから真実を生み出そうとする情熱そのものです。」と一旦結論づける。「再遊記」では、その芹沢が自身を時代に追い越された人間と認識し悩みはじめるところから始まる。
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