AmazonのKindleストアで電子書籍をセルフ出版してます

AmazonのKindleストアで下記の電子書籍をセルフ出版しています。

(石見の文芸シリーズ)
石見の姫神伝説:乙子狭姫、胸鉏比売、天豊足柄姫命、櫛代賀姫命など
https://www.amazon.co.jp/dp/B09BM11H6G/
石見の伝説:伝説の地を巡る
https://www.amazon.co.jp/dp/B09RJZVPQF/
神楽と文芸(総論): 石見神楽、芸北神楽、神代神楽、太々神楽など
https://www.amazon.co.jp/dp/B09MRFXFWS/
神楽と文芸(各論):神楽の重要演目・人気演目
https://www.amazon.co.jp/dp/B09PH6L1RG/
神楽と文芸(各論2):鬼退治
https://www.amazon.co.jp/dp/B09TK1GZ4R/
神楽と文芸(各論3):神話・歴史・エトセトラ
https://www.amazon.co.jp/dp/B09WW1R6N6/
(その他)
ブログから電子書籍までニッチ戦略の執筆術
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価格はいずれも500円。キンドル・アンリミテッド会員なら無料で読めます。

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2022年8月13日 (土)

葬式の使い――モチーフ分析

◆あらすじ

 昔あるところに猟の好きな六兵衛という男がいた。毎日いろいろな鳥獣を獲ってくるので女房が嫌がって猟を止めるように頼んだが、六兵衛は猟が面白くて止めようとしない。いつも女房と口げんかをしていた。ある日のこと、また口げんかをして山へ鉄砲を担いでいった。そして山の中をあちこち獲物を探したが、その日に限って獲物が獲れない。山奥深く探していく内に道に迷ってしまった。六兵衛は大きな木に登って夜を明かすことにした。すると、夜中頃になってどんどん人の足音がしてきた。六兵衛を呼ぶ声がして、女房が腹痛で苦しがっている。帰るようにと告げた。六兵衛が黙っていると、そこにいるのは分かっているんだ。早く帰りなさいと告げた。それでも黙っていると、これほど言っても戻らんなら死んだって知らない。集落の者まで集まって相談しているのにと言ってぶつぶつ言いながら帰った。六兵衛は変な事を言ってきたと思っていた。すると提灯の火が見えてきた。また六兵衛に家に戻るように告げた。六兵衛が黙っていると、女房が死にそうなのに猟に憑かれた者は訳が分からないとぶつぶつ言って帰ってしまった。しばらくすると、また提灯の火が見えてきた。女房がとうとう死んだ。葬式のことがあるから早く戻るようにと告げた。それでも黙っていると、帰ってしまった。しばらくして夜が明けたら帰ろうと思っていると、今度はぞろぞろと人が棺を担いで来た。六兵衛が戻らないから死人を一人おく訳にもいかないから棺をこしらえてここまで持ってきたと告げた。六兵衛は一晩の内にこしらえて持ってくるはずはないから何かが化かそうとしているのだと思ってずっと動かずにいた。その内だんだん夜が更けてしんとしてきたら柩がバリバリと音をたてて裂けた。そして中から女房が出てきた。女房が六兵衛に呼びかけたが黙っていると木へ登りはじめた。だんだん近づいてきて手が届くかと思ったところで六兵衛は鉄砲を構え、足に手が触ったのでズドーンと撃つとドッタンと落ちた。その内に夜もしらじらと明けたので、やれやれ変なことがあったが何が化かしたのだろうかと思って下へ降りてみると、ずっと血の跡が続いているので、その跡をつけていくと自分の家へ帰っていた。おかしなことだ。本当に女房が死んだのだろうかと思って帰ってみると、女房が鉄砲で撃たれて死んでいた。これは仏さまが見せしめのためにやってくださったのだろうと思って、はじめて六兵衛も目が覚めて、それから猟をすっぱりと止めた。

◆モチーフ分析

・六兵衛という猟が好きな男がいて、殺生を諫める女房と喧嘩ばかりしていた
・ある日、山に入ったが獲物が一匹も撮れない
・その内に道に迷ってしまった
・大きな木に登り、一晩明かすことにする
・夜が更けると、足音がして女房が腹痛で苦しんでいると告げる
・六兵衛は黙ったままやりすごす
・今度は提灯の火が見え、女房が死にそうだと言い六兵衛に家に帰るように告げる
・六兵衛は黙ったままやり過ごす
・今度は女房が死んだ、葬式のことがあるから帰るようにと告げる
・六兵衛は黙ったままやり過ごす
・今度は棺を運んでくる
・六兵衛は黙ってやり過ごす
・棺から女房が出てくる
・女房、木に登ってくる。手が触れそうになる
・六兵衛、女房を鉄砲で撃つ
・六兵衛、血の跡を追うと自宅に戻る
・女房が鉄砲に撃たれて死んでいた
・六兵衛、改心する

 猟の途中で道に<迷った>六兵衛は木の上で一晩<明かす>ことにする。得体の知れない者がやってきて女房の身に不幸があったから戻るように<告知>する。六兵衛は<黙殺>する。それを何度か繰り返して、死んだはずの女房が<登場>する。六兵衛は近づいてきた女房を鉄砲で<撃つ>。血の跡を<追跡>すると、自宅で女房が撃たれて<死亡>していた。六兵衛は<改心>した。

 発想の飛躍は木の上に登った者に得体の知れない何ものかが引き返すように諭すところでしょうか。更に死んだはずの女房まで登場して物語はバッドエンドとなります。これはバッドエンドですが、実は狸が化かしていたのだというハッピーエンドのパターンもあります。私はこのバッドエンド版が何か得体の知れない感じがして好きです。

 また、六兵衛が日常→非日常→日常と巡る話でもあります。

◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)pp.166-170.

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2022年8月12日 (金)

難題聟――モチーフ分析

◆あらすじ

 昔、大仙(だいせん)の麓に色粉(いろこ)(染粉)屋があって十七から二十一まで真面目に務めた手代がいた。ある日西の方からきれいな娘が来た。この娘はお前の聟になる者は大仙の色粉屋の手代より他にいないと聞いていたので、手代を試しにきたのであった。娘は色粉を二両も買って出ようとしたが、手代はその金を受け取らず貰うところで貰うと言った。そして娘が去りかけると呼び返して所を訊いた。娘は「所はふさんの麓」「家の名ははるば屋」名前は「四月生え五月禿げ」と答えて行ってしまった。それから手代は考えてみたが、どうしても分からない。休みの日に山寺の和尚さんのところへ将棋をしに行って、将棋の入れ言葉に「ふさんの麓」と言って打ち込んだ。和尚は「草津の町に」と打ち返した。「はるば屋とは」「あめがた屋」「四月生え五月禿げ」「お竹さんの事よ」それで草津の町のあめがた屋の小竹という娘と分かったので手代は主人に暇を貰った。主人は草鞋(わらじ)銭に二十両くれた。手代はそれを持って西に向けて三日目の箸間(はしま)時分に茶店によって「ここは何という町か」と訊くと、婆さんが「草津の町だ」と言った。「草津の町にはあめがた屋という家があるか」と訊くと「それは白壁の物持ちの家だ」と言う。「そこにお竹さんといういい娘がいるか」と訊くと、「それは一人娘だ」と言う。手代は「その娘の男になりたいから世話をしてくれ」と頼むと、婆さんは「自分のような者では相手にしてくれない。手紙の小使いくらいならしてやる」言うので手代は思いのたけを手紙に書いて婆さんに頼むと娘から返事が来た。それには「このよでなし、今度のよでなし、その次のよに、天竺の花の咲く時分、草へ実のある時分に、背戸の裏門までこい。話し会おう」とあった。こんな難しいことを言ってくるのは逢わないつもりかも知れないと思って沈んでいると、婆さんがそれを聞いて「この意味は昨夜でなし、今夜(こんべ)でなし、明日の晩のことだが、今夜行ってもかまわないのだ」と言った。そして時刻は「星が空に出、草に露のおく時分という意味だ」と教えてくれた。そこでその晩の夕方に訪ねていくと、娘は「汝(わ)は聟にするけえ、この奥(おき)の五兵衛という者が町の当職だ。それへ行って話してみい」と教えた。そこを訪ねていくと五兵衛がお前ならあそこの若旦那になろう、自分が世話をしよう」と腰をあげた。五兵衛があめがた屋の旦那に話すと、それだけの働きのある者ならここへ連れてこいと言うので、五兵衛が手代を連れて行くと、旦那は「聟にはするが、三品の買物をしてくれ。みなこの草津の町にある物だけえ」と言って書付けを渡した。書付けには「一には西行法師、二には夜のドージマ(履き物のポックリ)、三に花嫁じょう」とあった。手代は幾ら考えてみても分からないので、呼んで歩けば売ってくれるものがあるかもしれないと思って、大きな声で呼び歩いたが売ってくれる者がいない。困っていると町中で大夫(神主)さんと和尚さんが将棋をさしていた。手代はそこへ入って仲間になり、和尚さんに「西行法師」と打ち込むと「法螺(ほら)貝のことよ」「闇夜のドージマ」「ろうそくのことよ」「花嫁じょうとは」「麦饅頭のことだ」。そこでその品を探してみると、皆あめがた屋の近所で売っているものばかりであった。これを買って帰りかけると、途中で座頭に出会って、その杖に引っかかったので座頭が転んだ。座頭は手代の持っていた法螺貝をひったくって中の身を食ってしまった。手代が「杖に当たったのはこっちが悪いが、人の物をとって食う奴があるか」と怒ると、座頭が「それはお前を聟にしたい故に食ったのだ。俺もあの家では世話になっている。これからはお前にも世話にならねばならんから言うて聞かせるが、これをこのまま持っていんだのでは旦那は取りはせん」と言って今度は麦饅頭の粉を抜いて食った。そして「これには意味がある。先ずあれへ去(い)んだ時分にはようやく戻りました。西行法師と書いてありましたが、西行法師さんのところへ行ったところが、今日は歌詠みに出て留守でありました。何ぼ待っても戻れんで、あれの家のを持って戻りましたと言え。また、花嫁じょうと書いてありましたが、それはこの奥(おき)に子を生んでおりました。子は川へ流れましたからそれで親ほどと思って持って戻りました。闇の夜のドージマは怪我なしに戻りました。こう言えば旦那はもう難しいことは言い付けまい」と教えてくれた。手代は教えられた通りに三つの品を差し出すと、旦那は感心して手代を聟にして安穏に暮らした。

◆モチーフ分析

・大仙の麓に色粉屋があって十七から二十一まで真面目に務めた手代がいた
・ある日、西の方からきれいな娘が来た
・娘は時分の夫になるのは大仙の色粉屋の手代と聞いていたので手代を試しに来た
・娘、色粉を二両も買う
・手代、その金を受け取らず、貰うところで貰うと言う
・手代が訊くと娘は謎かけして去る
・手代、考えても分からないので山寺の和尚さんの所へ将棋をしに行く
・和尚、謎を解く
・草津だと分かったので手代、主人に暇をもらう
・手代、三日かかって草津に行く
・手代、茶店の婆さんに娘の夫になりたいからと世話を頼む
・手代、娘に手紙を書く
・娘、手紙で謎かけする
・婆さんが謎を解く
・娘に会いに行くと、五兵衛に会う様に言う
・五兵衛、旦那に取り次いでくれる
・旦那、買物の謎かけをする
・神主と和尚が将棋を指していたので仲間に入る
・和尚、謎を解く
・手代、買物をする
・手代、座頭とぶつかる
・座頭に文句を言うと、自分は旦那に世話になっている。これからはお前にも世話になるといって買物の謎を解く
・座頭の言う通りにして旦那に面会すると旦那は手代を聟にする

 娘が手代に会いに<来訪>する。娘、手代に<謎かけ>する。手代、謎を和尚に<解読>してもらう。手代、草津に<出立>する。草津の茶店で手代、婆さんに手紙を<言付ける>。謎かけされた手紙が<返信>される。婆さんが謎を<解読>する。手代、娘に会う。娘、ある男に取り次いでもらうよう<進言>する。男、その男に<会う>。男、旦那に<取り次ぐ>。旦那、<謎かけ>する。手代、和尚に謎を<解読>してもらう。その通りに<買物>をする。座頭と<衝突>し、座頭、買物を<奪取>する。<文句>を言うと手代のためにしているのだと<返答>する。座頭の言う通りにすると、旦那は手代を聟に<取る>

 発想の飛躍は数々の謎かけでしょうか。手代自身は謎を解かず、他人の助力を得る形となります。大仙は草津の東にあるので、元々は島根の昔話ではないのでしょう。

◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)pp.160-165.

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無料キャンペーン実施します

8月12日16:00から8月16日15:59までAmazon Kindleストアで三明秀樹「石見の文芸シリーズ」の無料キャンペーンを実施します。この機会にお試しください。星だけでもいいのでレビューを入れて下さるとうれしいです。
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2022年8月11日 (木)

出版開始から一年経過

気がつくと、電子書籍を出版開始してから一年が経過していた。この一年で稼いだ額は5000円に満たない。他の人のひと月分にも満たない結果である。

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2022年8月10日 (水)

怪我の功名――モチーフ分析

◆あらすじ

 昔、大ほら吹きの男がいた。どこへ行って何を殺したと剣術が上手だとかほらを吹いていた。そこへ余所の村からそんなに強いならうちの村で化物が出て困っているが来て退治してくれないかと頼みに来た。どうも行かれないとは言えない。それで応じてその村へ出かけた。これは大変なことになった。どんな物が出るだろうと思って来てみると、大きな蜘蛛(くも)の巣の張った空き家で長押(なげし)に五人張り二十五束という弓が掛けてあった。これはいいものがあると思って弓を取ってみた。さて、夜遅く静かになってから向こうの山がごうっといってしばらくすると破風でダダダッと大きな音がした。すると天井の間から一ツ目の大きな化物がニューっと覗いた。それで恐ろしくなってその方へ向けて五人張りの弓をパーンと投げた。すると化物はギャーッといって逃げてしまった。そうこうする内に鶏(にわとり)が鳴いて夜が明けた。夕べの男はどうなったかと村の者たちが連れ立って見に来た。男は元気で座っているので、どうしたかと言うと、確かに化物が出た。ここにあった弓で自分が退治した。確かに手応えがあったから見よ、血を落として逃げていると答えた。村の者が見るとずうっと血が落ちているので、跡をつけて行くと山の奥の洞穴に大きな古狸が死んでいた。それで化物を退治してくれたというので村では手のたつ名人ということになった。とうとう村一番の身上のよい家の聟(むこ)に貰われた。その家の娘はとてもきれいな娘だった。ところが大ほらふきの男は手がたつとは言っても大変みっともない男だった。それで娘はこんな聟では恥ずかしいからどうにかして帰ってもらいたいと思ったが、どうしても帰らない。そこである日、遠くの村からうちの村で山賊がたくさん出て悪いことをして困っている、ここには大変手の立つ人がいたので来て退治してくれないかと頼みに来た。男は快く引き受けた。これはいい。山賊を退治しに行けば弁当を持っていくからその時に毒むすびをこしらえて持たせればいいと思って女房はむすびの中へ毒を入れて風呂敷に包んで持たせた。さて、山賊がいるという山へ行ってみると、山賊たちは大きな松の木の根元へ鍋やら釜やら置いてそこで寝起きしていた。ちょうど山賊たちは出かけていない。戻ったら恐ろしいので松の木のずっと上の方へ登って隠れていた。そんなことを知らない山賊は夕方になると分捕ったものをたくさん持って帰って飲み食いした。ところが松の木の下で火を焚いて酒を沸かすので煙たくてどうしようも無い。それで風上へあっち行きこっち行きして廻っていたところ、腰へつけていたおむすびがいつの間にか落ちてしまった。山賊は大騒ぎをして飲んだり歌ったりしていたが、その内に静かになった。山賊は寝た塩梅だから、むすびでも一つ出て食おうと思って男は腰を探したがむすびは一つも無い。ははあ、ああだこうだする内に落ちたのだろうと思って降りてみると山賊たちは皆酒に酔ったのか死んだのか分からないようになって寝ている。男はそれを片っ端から首を切って、山賊は皆退治したと言って戻った。山賊は男の弁当を拾って食べたので毒にあたって死んだのだ。これは本当に手のたつ偉い人だと思って、それからは女房も男を大切にして仲良く暮らした。

◆モチーフ分析

・ほら吹きの男がいて自分は強いと吹聴していた
・そんなに強いのならある村の化物を退治しろと言われる
・行かないとは言えないので、その村へ出かけた
・空き家に入る。五人張りの弓を手にする
・夜、一ツ目の化物が出るが弓で射る
・村の者たちが様子を見にきた
・血の跡を辿ると古狸が死んでいた
・手の立つ名人と見なされ、村一番の家に婿入りする
・嫁、男がみっともないと嫌う
・遠くの村で山賊が出るという話が出、男が行くことになった
・嫁、毒入りのおむすびを作って男に持たせる
・男、松の木の上で山賊の様子を窺う
・山賊たちが戻ってきて宴会をはじめる
・男、煙たいのであっちこっちへと逃げ回る
・その隙に腰の弁当を落としてしまう
・静かになったので降りてみると、山賊たちは死んだ様になっていた
・男、山賊たちの首を切り凱旋する
・山賊たちは毒入りのおむすびを食べて死んだのだった
・嫁、男を見直した

 ほら吹きの男、ある村の化物の退治を<依頼>される。<受諾>した男、村へ行き空き家に<入る>。五人張りの弓を<入手>する。一ツ目の化物を弓で<射る>。血の跡を<追跡>したところ、古狸が死んでいたのを<発見>する。それで村一番の家に<婿入り>する。嫁、男を<疎んじる>。遠くの村で山賊が出たので<退治>しに行くことになる。嫁、男に毒入りのおむすびを<渡す>。男、松の木の上で<監視>する。山賊たちが帰ってきて<宴会>する。煙いのであちこち動き回っていたところ、弁当を<落とす>。山賊たち静かになる。降りた男、山賊たちの首を<斬って><凱旋>する。嫁、男を<見直す>。
 発想の飛躍は毒入りのおむすびでしょうか。夫を殺すはずが山賊たちを退治してしまいます。

◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)pp.156-159.

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2022年8月 8日 (月)

えんこうの一文銭――モチーフ分析

◆あらすじ

 昔あるところに川の東の岸と西の岸に一軒ずつ家があって、それぞれ爺さんと婆さんが住んでいた。東岸の爺さんは正直者で一匹の猫を飼っていたが貧乏なので十分食べさせることができなかった。ところがある日、竜宮さまがえんこうの一文銭をやるから天井の裏へ下げて祀れとお告げになった。朝起きてみると果たして爺さんの枕元にえんこうの一文銭がおいてあった。その一文銭を天井の裏に吊すと、これまで貧乏だった爺さんの家は日増しに身上が良くなった。反対に西岸の欲張り爺さんの家は次第に身上が悪くなっていった。女はとかく口さがなく東岸の爺さんがえんこうの一文銭を授かってから日ごと身上が良くなったということを西岸の婆さんに話したので、これを聞いた爺さんは早速東岸の家へ行ってえんこうの一文銭を貸してくれないかと頼んだ。正直者の爺さんは長い間は貸せられないが一時なら貸してあげようと言って貸した。西岸の爺さんはその一文銭を持って帰って天井裏に吊しておくとその日から身上が次第に盛り返してきた。東岸の家は一文銭を貸した日からまた昔のように目に見えて貧乏になっていった。そこで西岸の爺さんに貸した一文銭を返してくれと催促にいったが、何とか理由をつけてどうしても返さないので、爺さんは困って戻ってきた。婆さんは考えあぐねた末に家の飼い猫に一文銭をとって来るようにいいつけた。猫は川が渡れないので困っていると、一匹の犬が来た。犬に訳を話して川を背負って渡してくだされと頼んだので、猫は犬に負われて川を渡ることができた。猫が西岸の家に行ってみると、鼠がいたので猫はすかさずこの鼠を捕って、お前の命を助けてやるから天井裏にある一文銭を取ってこいと頼んだ。鼠は天井裏に上がって一文銭を落として持ってきた。猫はそれを貰って、また犬に川を渡してもらうように頼んだ。犬の背に負われて川の中程まで来たとき、犬がくわえた物を落とすなよと言ったので猫はハイと返事した。その調子で一文銭が水の中へ落ちた。猫は泣かんばかりになって思案した。そうしたら空から一羽の鳶(とび)が下りて来たので猫は鳶を狙って咥えた。そして命を助けてやるからこの川に落ちた一文銭を探してこいと頼んだ。鳶は川の底にあるものは見えないので、川の上を泳いでいた鵜(う)を咥えて、お前は水の底にいる鮎(あゆ)でも捕るのだから水の底に落ちた一文銭を拾ってくれと頼んだ。そこで鵜は川の端を上下したがちっとも見えないので大きな鮎を咥えてお前の命をとるのではない。この川に落ちているえんこうの一文銭を取ってくれ。お前は水の底を歩いて蟹(かに)とえびでさえ餌にするくらい水の底のことは達者だからと頼んだ。鮎は水の底を泳いでいくと果たしてえんこうの一文銭があった。それを拾い上げて鵜に渡した。鵜はそれを鳶に渡して鳶はそれを猫に渡した。猫はとうとう水の底から一文銭を拾い上げることができたので、喜んで歌にうたった。「猫に鼠に空たつ鳶に 川で鵜の鳥、鮎の魚」。犬は川を渡してくれたが大切な一文銭を水の中に落とすようなことをさせたので、この歌の仲間に入れていないそうだ。猫はえんこうの一文銭を持って帰って爺さんに渡したので東岸の家はまた次第に身上がよくなった。

◆モチーフ分析

・川の東岸と西岸に爺さんと婆さんがそれぞれ住んでいた。
・東岸の爺さんは正直者だったが、飼い猫にろくに食わせられないほど貧乏だった
・竜宮からえんこうの一文銭を授かり、天井裏に下げて祀る
・すると身上が段々と上向いてきた
・東岸の婆さんが口さがなく西岸の婆さんに話す
・西岸の爺さんが東岸の爺さんに一文銭を貸して欲しいと頼む
・東岸の爺さんは、少しの間だけならと貸す
・すると西岸の爺さんの身上が上向き、東岸の爺さんの身上が下向く
・東岸の爺さん、一文銭を返す様催促するが、何かと理由をつけて返さない
・東岸の婆さんが飼い猫に一文銭を取り戻すように言い付ける
・猫、川を渡れないので困っていると犬がやって来る
・猫、犬の背に負われて川を渡る
・猫、西岸の家の鼠を捕まえ、一文銭を持ってくるように言い付ける
・鼠、一文銭を天井から取って猫に渡す
・一文銭を受け取った猫、再び川を渡ろうとする
・犬が声をかけたので応答してしまい、一文銭を川底に落としてしまう
・猫、鳶を捕まえて川底の一文銭を取ってくるように言い付ける
・鳶、川底が見えないので鵜を捕まえて一文銭を取るように言い付ける
・鵜、川底をさらえないので鮎を捕まえて一文銭を取るように言い付ける
・鮎、川底の一文銭を取って鵜に渡す
・鵜は鳶に一文銭を渡す
・鳶が猫に一文銭を渡す
・喜んだ猫は歌を詠む。ただし犬は除く
・一文銭を取り戻した東岸の家はまた身上がよくなった

 東岸の爺さん、えんこうの一文銭を<授かる>。次第に身上が<上向く>。婆さんがおしゃべりで西岸の婆さんに<露呈>してしまう。西岸の爺さんが一文銭の<貸与>を<申し入れる>。東岸の爺さん、<承諾>して<貸与>する。西岸の爺さん、一文銭を<返却>しない。東岸の婆さん、飼い猫に一文銭を取り戻すように<命令>する。猫、犬に負われて<渡河>する。猫、鼠を<捕獲>して一文銭を<奪取>する。再び<渡河>する。犬の言葉に<応答>してしまったために一文銭を川底に<落下>させる。猫、鳶を捕まえて一文銭を<回収>しようとする。鳶、できないので鵜を捕まえて<命令>する。鵜、できないので鮎を捕まえて<命令>する。鮎。一文銭を<回収>する。鮎、一文銭を鵜へ<渡す>。鵜、鳶へ<渡す>。鳶、猫へ一文銭を<渡す>。喜んだ猫は歌を<詠む>。犬は<除く>。一文銭を<回収>した東岸の爺さん、身上が<上向く>

 発想の飛躍はえんこう(河童)の一文銭を回収する動物たちのリレーでしょうか。えんこうの一文銭は豊かさをもたらす魔法のアイテムです。

◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)pp.152-155.

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2022年8月 7日 (日)

メタフィクションが好きな批評家

このところ批評家・東浩紀の評論集を読んでいる。僕は作家買いする傾向があるので気に入ったというところだろう。彼の主著である「存在論的、郵便的―ジャック・デリダについて」はまだ読んでいない。電子書籍化されていないのが主な理由だが、フランス現代思想についての博士論文なので難解だろうという苦手意識もある。

東氏はサブカルチャーの評論家でもあったのだけど、メタフィクション的な構成の作品を好む傾向にある。なので、その観点からいうと見落とされた作品も多々ある。

現在は社会思想に軸足を移したようだ。これは東日本大震災の影響が大きいだろう。東日本大震災の影響でゼロ年代的な思考形態が修正を余儀なくされたからだ。ただ、具体的な内容は知らないが、何らかのトラブルで現在はTwitterのアカウントを削除してしまったようだ。

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西行法師――モチーフ分析

◆あらすじ

 西行法師が鼓が原へ行った。タンポポの花がきれいに咲いているので「人に聞く鼓が原に来て見れば 磯辺に咲けるタンポポの花」と詠んだ。我ながら良く詠めたと感心する。広い原で家が無い。どこか泊まるところはないかと探していると小さな家が見つかった。入って見ると髪の白い老人夫婦がいたので一夜の宿を求めた。許されたので上がると何しに来たのか問われた。花を見に来たと答える。西行と名乗ると歌詠みの先生だなと言われる。ひとつ歌を詠んで欲しいと言われたので、我ながらよく詠めたと思う歌だといって詠んだ。それを聞いた老人はどうにもいけないところがある、自分がこの歌を直そうとと答える。鼓というものは音のするものである。それでは音に聞くと言わなければ鼓が原に来た甲斐がない。磯辺に咲ける、鼓は皮を張ったものである。だから川辺に咲けるとやってみよ。「音に聞く鼓が原に来て見れば 川辺に咲けるタンポポの花」と直すように言った。西行は感心して、そのうちうとうとと寝てしまった。目が覚めてみるともう夜明けで、そこには家もなくただの野原であった。そしてほとりに短冊が落ちていた。そこには「柿本人麿」と書いてあった。

◆モチーフ分析

・西行法師、鼓が原へ行く
・西行法師、歌を詠んで自賛する
・西行法師、宿を借りる
・西行法師、老人に歌を詠んで聴かせる
・老人、歌に手入れを施す
・納得した西行法師、そのまま寝てしまう
・目が覚めるとそこは野原で「柿本人麿」と書かれた短冊が落ちていた。

 鼓が原へやって来た西行法師、歌を<詠んで><自賛>する。宿を<借りた>西行法師、宿の主に歌を<詠んで><聞かせる>。すると老人は歌を<修正>する。<納得>した西行法師、<寝て>しまう。目が覚めると家は<消滅>し「柿本人麿」と書かれた短冊が<残存>していた。

 西行法師に歌の指導を行うのが柿本人麻呂だったというところが発想の飛躍でしょうか。西行法師が石見国を訪れたのかは分かりませんが、柿本人麻呂は石見で生涯を終えた歌聖であり、石見にふさわしい昔話と言えるでしょう。

◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)pp.149-151.

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神楽があったが外出せず

松見町の八幡神社で神楽が催されるが、オミクロン株の感染がピークなので行くのを見合わせた。神楽はオープンエアなので大丈夫だとは思うのだが、これだけ蔓延しているとどこで感染するか分からない状況なので。

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Scrapboxを使ってみる

キンドル・アンリミテッドでObsidianとScarpboxのマニュアル本を読む。Obsidianは難解で使いこなせそうにない。Scarpboxは使えそうだが、基本的にはチームで作業するもののようだ。もちろん個人でも使える。仕組み的にはマークダウン記法が簡略化されたWikiである。Scarpboxは[]でキーワードをくくると、そのキーワードが見出しとなったページが作られリンクが貼られる。たとえば[昔話]と入力すると「昔話」というタイトルのページができる。この調子で次々とページを作っていく。するとリンクを通じてネットワークが生成されるといった具合だ。リゾーム状になると言えばよいか。TABキーを押せば箇条書きもできる。

試しに今取り組んでいる昔話のモチーフ分析について付けたメモをScarpboxに移してみた。これはこれでいいのではないかと思う。ただ、発想の飛躍を起こすまでには至らない。

シンプルな操作性で奥深さが実現できる点で優れたツールと言えるだろう。ライフハック系の電子書籍を何冊か読んでみたが、自分が使っているタブレット端末(Kindle Fire HD8)では使えないアプリも多く、実感が湧かなかった。

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