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石見の伝説:伝説の地を巡る
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神楽と文芸(総論): 石見神楽、芸北神楽、神代神楽、太々神楽など
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神楽と文芸(各論):神楽の重要演目・人気演目
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2022年10月 4日 (火)

大きな話――モチーフ分析

◆あらすじ

 昔、ある若者が大阪へ出て、初めて宿に泊まった。女中が来てガラガラと雨戸を閉めた。若者はそれを見て、この家の雨戸は簡単でいい。自分のところでは、朝から昼まで中かかって雨戸を開け、夕方には昼から中かかって雨戸を閉めると言った。夕食の時給仕に出たさっきの女中が、明日この後ろの畠を見ろ。随分広い畠に粟が沢山播いてあると言うと、若者は自分のところには粟三斗蒔きの畠があると言った。女中がこの上へ行ってみましょう。向こうにとても長い橋ができたと言うと、若者は自分のところの前の川には十日渡りの橋があると言った。女中が何を言っても若者は大きなことを言うので、これは大した家らしいと思った。若者は女中に自分のところに来ないか。うちへ来てくれたら、米を搗(つ)くこともいらない。水を担ぐこともいらないと言った。すると、それでは明日一緒に行きましょうということになって、女中は若者について来た。行ってみると。粟三斗蒔きという畠は小さい、草のいっぱい生えた畠で、三斗蒔きというのは一度蒔いたが生えない。二度蒔いたが生えない。三度蒔いたらようやく生えた。それで三度蒔きで、昼までかかって雨戸を開け、昼から中かかって閉める雨戸というのはたった一枚で、上に引っかかり下に引っかかりガッタンピッシと中々動かない。長い橋というのはどこにあるかと訊くと、この下の谷川にかかった赤い橋で、毎月十日になると金比羅さんの祭りに皆が渡るから十日渡りの橋と言うのだ。米は搗かせないというのは、袋を下げてあっちこっちで貰って歩くから搗く必要がない。水は担がせないというのは、水はたごが一つしかないから担がれない。片手で下げてくるのだと言った。

◆モチーフ分析

・ある若者が大阪へ出て、初めて宿に泊まった
・女中が来てガラガラと雨戸を閉めた
・若者は自分のところでは朝から昼までかかって雨戸を開け、昼から夕方までかかって雨戸を閉めると言った
・夕食の給仕に出たとき、女中が後ろの広い畠に粟が沢山播いてあると言った
・若者は自分のところには粟三斗蒔きの畠があると言った
・女中が向こうにはとても長い橋があると言った
・若者は自分のところの前の川には十日渡りの橋があると言った
・女中が何を言っても若者は大きなことを言うので、大した家らしいと思った
・若者は女中にうちへ来ないか、米を搗くことも水を担ぐこともいらないと言った
・翌日、女中は若者について行った
・行ってみると、粟三斗蒔きは三度蒔いたらようやく生えたということだった
・雨戸はガタピシ動かない
・毎月十日になると金比羅さんの祭りがあるから十日渡りの橋と言う
・米は袋を下げてあっちこっちで貰って歩くから搗く必要がない
・水はたごが一つだけあるから担がれない。片手で下げてくるのだと言った

 形態素解析すると、
名詞:若者 女中 こと 雨戸 十 三 ところ 橋 粟 自分 水 畠 米 あっちこっち うち たご とき ガラガラ 一つ 何 前 向こう 夕方 夕食 大阪 家 宿 川 後ろ 必要 昼 昼ま 朝 毎月 沢山 片手 祭り 給仕 翌日 袋 金比羅
動詞:言う ある 蒔く 下げる 出る 担ぐ 搗く 来る 渡る 閉める いう いる かかる ついて行く なる 動く 思う 播く 歩く 泊まる 生える 行く 貰う 開ける
形容詞:でかい ない 広い 長い
副詞:とても ようやく ガタピシ 初めて

 若者/女中の構図です。抽象化すると男/女です。若者―大きな話―女中という図式です。

 大阪に初めて泊まった[宿泊]若者に女中が話しかける[対話]と若者はそれより大きな話をする[大言]。大した家らしいと思った[感心]女中は若者について行く[同行]。ところが若者の話は嘘ではないが、とてもみすぼらしいものだった[露見]。

 大きなことを放してばかりの若者だったが、実態はとてもみすぼらしいものだった……という内容です。

 発想の飛躍は若者の大言壮語でしょうか。若者―大きな話―女中という図式です。この後女中は大阪に帰ったのでしょうか。

◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)pp.317-318.

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2022年10月 3日 (月)

大かん狐――モチーフ分析

◆あらすじ

 昔、大かんの大岩の辺りに大かん狐というよく人を化かす狐がいた。日が暮れてここを通るとよく化かされた。それを問屋の主人が大層自慢にして来る船頭毎に大かん狐はよく人を化かす。誰でも彼でも皆化かすと言った。一人の船頭がそれを聞いて自分なら化かされないと言った。それなら賭けをしようということになって、船頭は日が暮れるのを待って大かんへ出かけた。そして大岩に腰をかけていると、向こうから殿さまの行列がやって来た。下に、下にという声に船頭はやれしまった、殿さまのお通りとは知らなかったと小さくなっている内に先払いが来て、やい無礼者、殿さまのお通りというのにそこにおるとは不届き者、手打ちにしてやると言った。船頭がどうなることかと震えていると、これでこらえてやると言って頭をくりくり坊主に剃ってしまった。やれ助かったと思ってみると、侍も殿さまもいない。これはしまった。狐に化かされたと思って問屋へ戻ったところ、これは自分の勝ちだ。それでは約束通り船をもらうと言って、乗ってきた船を取られてしまった。船頭は仕方ないので何里もある道を歩いて帰って布団を被って寝ていた。三日経っても起きないので女房が心配して訳を尋ねた。それを聞くと女房は、それなら自分が仇をとってやろうと言って千石船を準備してそれに乗って出かけた。そして問屋の主人に自分なら化かされないと言った。そこで千石船と問屋の家財全部とで賭けをすることになった。女船頭は日が暮れるのを待って大かんの大岩へ出かけた。間もなく下に、下にという声が聞こえてきた。女船頭は侍に化けている狐に向かって、まだまだ化け方が下手だ。目で直せと怒鳴りつけた。狐どもは化けの皮が剥がれたと思って、どのようにすれば化けられるかと尋ねた。女船頭が唐鐘へ行って木綿と針と糸をとってくれば言うて聞かすと言うと、狐どもはすぐ唐鐘へ行って盗んできた。女船頭はそれで大きな袋をこしらえて、この袋の中へ入れ、そうしたら言うて聞かすと言った。狐どもは皆袋の中へ入ったので女船頭は袋の口をしっかり結んで問屋へ引きずって帰った。問屋の主人はびっくりしてしまった。女船頭は多くの若い衆を使って狐を猫島の沖へ沈めてしまったので、それから大かんで狐に化かされる者はいなくなった。女船頭は勝ったので、問屋の家財を全部もらって大金持ちになった。

◆モチーフ分析

・大かんの大岩の辺りに大かん狐という人をよく化かす狐がいた
・それを問屋の主人が自慢にしていた
・一人の船頭が自分なら化かされないと言った
・それで賭けをすることになった
・日が暮れるのを待って船頭は大かんへ出かけた
・大岩に腰掛けていると、向こうから殿さまの行列がやって来た
・先払いが不届き者、手打ちにしてくれると言った
・船頭は坊主頭にされて、これでこらえてやるとなった
・助かったと思ってみると侍も殿さまもいない
・狐に化かされたと思って問屋へ戻ったところ、乗ってきた船を取られてしまった
・船頭は仕方なく何里もある道を歩いて帰った
・布団を被って三日ほど寝ていた
・女房が心配して訳を尋ねたので話した
・女房はそれなら自分が仇をとると言って千石船を準備して出かけた
・問屋に自分なら化かされないと千石船と問屋の家財全部とで賭けをした
・女船頭は日が暮れるのを待って大かんの大岩へ出かけた
・間もなく下に、下にという声が聞こえてきた
・女船頭は侍に化けている狐に向かって、まだまだ化け方が下手だ、目で直せと怒鳴りつけた
・狐たちは化けの皮が剥がれたと思って、どのようにすれば化けられるかと尋ねた
・女船頭が唐鐘へ行って木綿と針と糸をとってくれば言うて聞かすと答えた
・狐どもはすぐ唐鐘へ行って盗んできた
・女船頭はそれで大きな袋をこしらえて、この袋へ入れ、そうしたら言うて聞かすと言った
・狐どもが皆袋の中へ入ったので女船頭は袋の口をしっかり結んで問屋へ引きずっていった
・女船頭は若い衆を使って狐を猫島の沖へ沈めた
・それから大かんで狐に化かされる者はいなくなった
・女船頭は賭けに勝ったので問屋の家財を全部もらって大金持ちになった

 形態素解析すると、
名詞:船頭 狐 女 問屋 かん それ 大岩 自分 袋 賭け かす 下 侍 千石船 唐 女房 家財 日 殿さま 聞 鐘 三 こと これ ところ 一人 不届き 中 主人 人 仇 何 先払い 全部 化けの皮 口 向こう 坊主頭 声 大金持ち 布団 心配 手打ち 木綿 沖 準備 猫島 皆 目 糸 者 自慢 船 若い衆 行列 訳 辺り 道 針
動詞:する 言う 化かす いる 出かける 化ける 思う いう とる なる 尋ねる 待つ 暮れる 行く ある かむ こしらえる こらえる もらう やって来る やる 乗る 使う 入る 入れる 剥がれる 助かる 勝つ 取る 向かう 寝る 帰る 引きずる 怒鳴りつける 戻る 歩く 沈める 盗む 直す 答える 結ぶ 聞こえる 腰掛ける 被る 話す形容詞:よい 仕方ない
形容動詞:どのよう 下手
副詞:しっかり すぐ そう まだまだ 全部 間もなく

 船頭/狐/問屋の構図です。船頭(女房)―賭け―問屋、船頭(女房)―殿さまの行列―狐の図式です。

 狐に化かされるか問屋と賭けをした船頭だったが[賭け]、大名行列に騙されて[幻惑]頭を丸坊主にされていまう[敗北]。賭けに負けて船頭は船を失った[喪失]。女房が仇をとると言って問屋と賭けをする[賭け]。女房は狐を騙して袋に入れて猫島の沖に沈める[謀略]。狐に化かされる者はいなくなり[安定]、女房は問屋の家財を手に入れた[獲得]。

 船頭の仇をとるため女房が狐を騙し、袋に詰めて海に沈めた……という内容です。

 発想の飛躍は、女船頭が狐を騙すところでしょうか。女船頭―袋―狐の図式です。この話も人間が狐に勝ちます。

 唐鐘の地名が出ますので浜田の話だと思われますが、大かんという地名は知りません。

◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)pp.313-316.

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2022年10月 2日 (日)

はんだの馬場の尻焼狐――モチーフ分析

◆あらすじ

 小路の爺さんは度胸のいい人だった。ある日日が暮れてから山の内の方から牛を引いて帰った。寂しいはんだの馬場に差しかかると、年頃の娘がひょっこり出てきて道連れになった。そして、爺さん、足ガだるいがその牛に乗せてくれないかと言った。爺さんは来たなと思ったが、そしらぬ顔で、乗せてやるともと言い、鞍にかき乗せて、しっかりと綱でくくりつけた。娘はそんなに締めたら痛いと言う。いいや、落ちると悪いからと構わずにしっかり縛りつけて歩き出した。その内に村の近くになった。娘は、爺さん、降ろしてください。歩くからと言ったが、いいや、もう直に村だから、ついでに乗ってらっしゃいと答える。小便がしたいから降ろして下さいと言うと、もうじきだから、ついでにそのままにしなさい。娘は降りようと思ってもがいたが、しっかり縛りつけてあるのでどうにもならない。爺さんはいくらもがいても何と言っても取りあわず、とうとう自分の家まで帰った。そして門口から、婆さん、お客さんを連れてきたから足を洗う湯をもってきなさい。うめないでよい。なるたけよく沸かして熱くしてもってきなさいと言った。婆さんは変なことだと思ったが、ぐらぐら煮える熱い湯をたらいに入れてもってきた。爺さんは娘をしっかり抱きかかえて降ろし、それお客人、足を洗ってあげますと言って湯の中へ入れたので、娘はたちまち正体を現し狐になって、尻を焼かれて逃げていった。

◆モチーフ分析

・小路の爺さんは度胸がよかった
・日が暮れてから牛を引いて帰ってきた
・はんだの馬場に差しかかると年頃の娘と道連れになった
・娘は足がだるいから牛に乗せてくれと言った
・爺さんは応じて、娘を鞍に乗せて綱でくくり付けた
・娘が痛いといったが、爺さんは落ちると悪いからと取りあわない
・村の近くになって娘が降ろしてくれと言ったが、爺さんは取りあわない
・娘は降りようともがいたが、しっかり縛りつけられているのでどうにもならない
・爺さんは家に着くと婆さんに足を洗う湯を頼んだ
・婆さんが煮えた熱い湯をたらいに入れて持ってきた
・爺さんが娘を降ろして足を洗おうとして湯の中に入れると、娘は正体を現し狐になった
・尻を焼かれて狐は逃げていった

 形態素解析すると、
名詞:娘 爺さん 湯 足 婆さん 牛 狐 たらい はんだ 中 家 小路 尻 年頃 度胸 日 村 正体 綱 近く 道連れ 鞍 馬場
動詞:なる 乗せる 入れる 取りあう 洗う 言う 降ろす いく くくり付ける する もがく 差しかかる 帰る 引く 応じる 持つ 暮れる 焼く 煮える 現す 着く 縛りつける 落ちる 逃げる 降りる 頼む
形容詞:だるい よい 悪い 熱い 痛い
副詞:しっかり どう

 爺さん/娘(狐)の構図です。抽象化すると、人間/動物となります。爺さん―牛―娘=狐、爺さん―(煮える)湯―娘=狐といった図式です。

 爺さんが牛を引いて帰ってきたところ[帰還]、はんだの馬場で娘と道連れになった[遭遇]。足がだるいと言う娘を牛に乗せ[依頼][承諾]、綱で縛りつける[緊縛]。娘は文句を言うが[苦情]、爺さんは取りあわない[無視]。家に着き、煮えた湯で足を洗おう[検査]とすると正体を現し[露見]、狐は逃げていった[逃走]。

 馬場で道連れになった娘が牛に乗せてくれるよう依頼し、爺さんが応じるが、しっかり縛りつけて問答無用で家まで連れ帰る。煮えた湯を足につけると狐は正体を現した……という内容です。

 発想の飛躍は、爺さんが狐に勝つことでしょうか。爺さん―(煮える)湯―娘=狐の図式です。狐に化かされる話がほとんどなのですが、この話では珍しく人間が勝ちます。

◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)pp.311-312.

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要ロールバック

昔話のモチーフ素の抽出の部分のやり直し、どうしようかと思っていたが、初期の話に遡ってみると、初期のやり方の方が望ましいとなった。100話近くロールバックしなければならないが。

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アクセスが集中

(番外編)備中松山城と大石内蔵助の腰掛け岩: 薄味へのアクセスが異常に多い。テレビで放送でもしたか。

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2022年10月 1日 (土)

池の峠の狐――モチーフ分析

◆あらすじ

 昔、小角(こづの)の池の峠に人を化かす狐がいた。村に何でも自慢する男がいて、自分なら狐に化かされたりしやせんといつも言っていた。その男がある晩そこを通りかかると、道のほとりに美しい女が立っていた。男はこいつが例の狐に違いないと思って、いきなり腕をひっ捕まえると、おのれ、狐め。俺を化かそうと思ってもそうはいかない。連れて帰って火あぶりにしてやるからそう思えと言ってずるずる引っ張って帰った。女は驚いて自分は狐ではない。助けてください、手を放してくださいと言ったが、男は何、放すものかといってどうしても放してくれない。女は泣く泣くもう右の腕はちぎれるから左の腕と取りかえてくださいと頼むので、それなら取りかえてやろうと言って左の手を引っ張って帰った。男は家の前まで帰ると、おい、かかあ、お客さんを連れて帰ったから火をどんどん焚け、これから火あぶりにしてやると大きな声で怒鳴った。すると、いきなり手が軽くなって男はすとんと尻もちをついた。しかし握った手は放さないで、しまった、狐は逃がしてしまった。それでも手だけは引き抜いてやったからこれを見よと言って女房にそれを見せた。女房はそれを見るとくすくす笑い出したので、火の灯りでよく見ると胡瓜(きゅうり)を一本しっかり握っていた。

◆モチーフ分析

・小角の池の峠に人を化かす狐がいた
・ある男は自分は化かされないと自慢していた
・ある晩、池の峠を通りかかると、道のほとりに美しい女が立っていた
・男はこいつが例の狐に違いないと思って、女の腕を捕まえた
・女は驚いて自分は狐ではないと許しを請う
・男が手を放さないので女はせめて左の腕と取りかえてくださいと言う
・応じた男は女を家まで連れてくる
・男は女房に火を焚けと言い、火あぶりにしてやると怒鳴った
・すると、手が軽くなって男は尻もちをついた
・握った手は放さないで、手だけは引き抜いてやったと女房に見せた
・女房はくすくす笑い出す
・よく見るとそれは胡瓜だった

 形態素解析すると、
名詞:男 女 手 女房 狐 峠 池 腕 自分 こいつ それ ほとり 人 例 家 小角 尻もち 左 晩 火 火あぶり 胡瓜 自慢 道
動詞:化かす 放す 言う いる する つく やる 取りかえる 引き抜く 応じる 怒鳴る 思う 捕まえる 握る 焚く 立つ 笑い出す 見せる 見る 許す 請う 通りかかる 連れる 驚く
形容詞:ない 美しい 軽い 違いない
副詞:くすくす せめて よく

 男/狐の構図です。抽象化すると、人間/動物です。男―胡瓜/腕―女=狐といった図式です。

 狐が<出る>という池の峠で男は美しい女と<遭遇>する。女を狐と<見た>男は女の腕を強引に<掴む>。女はせめて左腕にしてくれと<言い>、男は腕を<持ち直す>。女を強引に家まで<連れて>きた男だったが、火あぶりにしてやると言ったところ、すとんと<尻もち>をつく。女房に腕を<見せた>ところ、それは胡瓜だった。

 狐が出るという池の峠で遭遇した女の腕を強引に掴んで家まで連れていった男だったが、きづくと胡瓜を握っていた……という内容です。

 発想の飛躍は男が胡瓜をつかまされていたことでしょうか。男―胡瓜/腕―女=狐の図式です。左腕にもちかえたところで握らされた様です。すんでのところで狐を取り逃がしてしまったというところです。

 那賀郡に小角や池の峠といった地名があるのか知りません。伝説的要素を持ちますが、内容的には昔話でしょうか。

◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)pp.309-310.

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研究篇を読み終える

角川書店『日本昔話大成』第12巻 研究篇を読む。これには昔話研究に関する論文が収められている。通読して気づいたのだけど、歴史地理的手法についての解説ではモチーフ分析について触れられていなかった。こちらの思い違いか。昔話の形態論についての論考では現在僕が進めている手法が、まだ生というか発展途上のものであることに気づかされた。これ、どーしよう?

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アクセス解析:2022年4月~10月の実績

2022年4月~10月の実績

4月 PV:1443 Visit:1117 UU:1034
5月 PV:2591 Visit:1813 UU:1694
6月 PV:2120 Visit:1505 UU:1407
7月 PV:1786 Visit:1371 UU:1242
8月 PV:2057 Visit:1327 UU:1209
9月 PV:2807 Visit:1598 UU:1482

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2022年9月30日 (金)

創造性の神話――読書猿「『独学大全』公式副読本――『鈍器本』の使い方がこの1冊で全部わかる」

読書猿「『独学大全』公式副読本――『鈍器本』の使い方がこの1冊で全部わかる」を読む。



「何も知らないことが自由な発想を生み出す」という創造性の神話は、とうの昔に様々な観察や実験手続きを経て否定されている。



とある。もしかして、ゆとり教育はこの様な認識で実施されたのだろうか。空恐ろしくなる話である。

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大公――モチーフ分析

◆あらすじ

 昔、大公という若者がいた。近所に金持ちの旦那がいた。旦那は欲張りで評判がよくなかった。大公は時々雇われて旦那のところへ働きに行った。ある日旦那の供をして山奥へ猟に行った。昼になったので昼飯を食べて休んでいる内に大公は木に登って遠方をあっちこっちと見ていたが、旦那様、大変ですと言って慌てて下りてきた。お家の方に当たって火の手が見える。火事かもしれないから自分が帰って様子を見てくると言って走って帰った。そして家へ帰ると、奥様、大変でございます。旦那さまが崖から落ちて頭に大怪我をした。それには女房の髪を黒焼きにしてつけると聞いているので自分が取りに帰った。すぐ髪を切って下さいと言った。奥様はびっくりして大急ぎで髪を根元からぷっつり切って大公に渡した。大公は山へ行くと、旦那様、大火事です。火事で奥様が大怪我をした。火事の怪我には何でも旦那の髪の黒焼きがよいということだ。早くそのまげを切るように言った。旦那は慌てて髪を根元からぷっつり切って大公に渡した。大公はそれを持って一散に駆けだした。旦那も大公について駆けだした。そして家へ帰ってみると家は何の事もなく、入って見ると奥さんが丸坊主になっていた。旦那は大公に騙されて二人とも髪を切られたことを知ると、大いに腹を立て、下男にいいつけて大公を捕らえてこさせた。そして大きな箱を作ってその中に入れ、首ほど出して大川へ流してこいと言いつけた。二人の下男は箱をかついで大川へ来た。土手におろして川へつき落とそうとすると、大公が箱の中から何も思い残すことはないが、これまで溜めた金がどこそこに瓶にいっぱい埋めてある。お前らに形見にやるから人に知られぬように早く掘れと言うと、下男たちは箱をそのままにして自分が掘ろうと思って我先に走って帰った。大公は穴から首を出してみると、目の悪い男が杖にすがって通りかかった。大公は大きな声であなたは目が悪いらしいが、この箱へ入るとじきよくなる。自分も目が悪くてこの箱へ入れてもらったらすっかりよくなった。これから出ようと思っているところだと言った。目の悪い男はそれではというので縄をといて大公を出し、代わって自分が入った。大公はそれに縄をかけて逃げた。下男たちは大公に言われたところへ走っていって掘ってみたが何も出ない。ようやく騙されたことに気がついて帰ってくると、物も言わずに箱を川へ突っ込んでしまった。三日ほど経って大公は旦那のところへ言った。旦那さま、自分はこの間川へ流してもらったが、あれから竜宮へ参った。立派な御殿で、お姫様の美しいこと、旦那様のことを話しましたら是非お連れしてこいとのことで迎えに参ったと言うと、旦那は大喜びで夫婦づれで大川のほとりへ来た。そして、一、二、三で飛び込むのですよと言って二人を川へつき落とした。それから自分が旦那のところへ帰って楽に暮らした。

◆モチーフ分析

・大公という若者がいた
・近所に金持ちの旦那がいたが欲張りで評判がよくなかった
・大公は旦那のところへ時々雇われた
・旦那の供をして山奥へ猟にいった
・旦那の家の方向に火の手が見える。家事かもしれないから帰って様子を見てくるといって走って帰った
・家へ帰ると奥さんに旦那が怪我をしたと言って髪を切らせた
・大公は山へ戻ると、旦那に火事で奥さんが怪我をしたと言ってまげを切らせた
・家へ帰ると、家は何事もなく、奥さんが丸坊主になっていた
・騙されて腹をたてた旦那は下男に大公を捕らえさせ、箱の中に入れ、川に流してこいと言った
・下男が川へ突き落とそうとすると、大公は溜めた金が埋めてあるから形見にやると言う
・下男たち、箱をそのままにして走って帰る
・目の悪い男が通りがかった
・大公はこの箱に入るとじきに良くなるといって入れ替わらせた
・騙されたと知った下男たちが箱を川へ突っ込んでしまった
・大公は三日ほど経って旦那のところへ行き、竜宮へ言ったと語った
・旦那を招いていると騙し、旦那と奥さんを川に突き落とした
・大公、自分は旦那のところへ帰って楽に暮らした

 形態素解析すると、
名詞:旦那 大公 下男 奥さん 家 川 箱 ところ 怪我 三 まげ 中 丸坊主 何事 供 家事 山 山奥 形見 方向 様子 欲張り 火の手 火事 猟 男 目 竜宮 腹 自分 若者 評判 近所 金 金持ち 髪
動詞:帰る する 言う いく 騙す いる 切る 突き落とす 走る いう しれる たてる なる やる 入る 入れる 入れ替わる 埋める 戻る 招く 捕らえる 暮らす 流す 溜める 知る 突っ込む 経つ 行く 見える 見る 語る 通りがかる 雇う
形容詞:ない よい 悪い 良い
形容動詞:じき 楽
副詞:そのまま 時々

 大公/旦那/下男の構図です。大公―火事―旦那、大公―火事―奥さん、大公―箱―下男、大公―箱―目の悪い男という図式です。

 大公が旦那の家が火事だと≪騙し>て旦那と奥さんを丸坊主に<させる>。怒った旦那は大公を箱に<入れて>川に<流そう>とする。が、大公は下男たちを<騙し>、更に目の悪い男を<騙して><入れ替わる>。大公は竜宮に行ってきたと旦那を<騙し>、旦那と奥さんを川へ<突き飛ばす>。

 大公は旦那を騙して丸坊主にさせ、更に竜宮に行ってきたと騙し、旦那夫婦を川へ突き落とす……という内容です。

 発想の飛躍は大公の悪知恵でしょうか。大公―火事―旦那、大公―火事―奥さん、大公―箱―下男、大公―箱―目の悪い男という図式です。

 原話はアンデルセンの「小クラウスと大クラウス」だそうですが、読み比べてみると、かなりローカライズされています。

◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)pp.306-308.
・大庭良美「石見の民話―その特色と面白さ―」『郷土石見』八号(石見郷土研究懇話会、一九七九)五八―七一頁。

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