AmazonのKindleストアで電子書籍をセルフ出版してます

AmazonのKindleストアで下記の電子書籍をセルフ出版しています。

(石見の文芸シリーズ)
石見の姫神伝説:乙子狭姫、胸鉏比売、天豊足柄姫命、櫛代賀姫命など
https://www.amazon.co.jp/dp/B09BM11H6G/
石見の伝説:伝説の地を巡る
https://www.amazon.co.jp/dp/B09RJZVPQF/
神楽と文芸(総論): 石見神楽、芸北神楽、神代神楽、太々神楽など
https://www.amazon.co.jp/dp/B09MRFXFWS/
神楽と文芸(各論):神楽の重要演目・人気演目
https://www.amazon.co.jp/dp/B09PH6L1RG/
神楽と文芸(各論2):鬼退治
https://www.amazon.co.jp/dp/B09TK1GZ4R/
神楽と文芸(各論3):神話・歴史・エトセトラ
https://www.amazon.co.jp/dp/B09WW1R6N6/
(その他)
ブログから電子書籍までニッチ戦略の執筆術
https://www.amazon.co.jp/dp/B09RTZHP4K/

価格はいずれも500円。キンドル・アンリミテッド会員なら無料で読めます。

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2022年12月 1日 (木)

共同体の共通善――菊池理夫『日本を甦らせる政治思想――現代コミュニタリアニズム入門』

菊池理夫『日本を甦らせる政治思想――現代コミュニタリアニズム入門』を読む。正義よりも共通善を志向する政治思想。中道左派に相当する。

宮台真司が社会学の社会システム理論を援用して、日本ではシステム(市場、行政etc)が生活世界(共同体)を浸食していると指摘しているが、その指摘の背景にコミュニタリアニズムがあると知って読んだもの。

生活世界の再構築という文脈であれば民俗学にも現代的意味が出てくる。本書では地域社会については語られたが、民俗学的な言及はわずかだった。

第一章では多くの学者名とその批判が列挙されている。が、初読者にとっては混乱の元だと感じる。構成的に後回しでも良かったのではないか。

玉野井芳郎(マル経学者)の名前を見かけて懐かしい気持ちになった。

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2022年11月29日 (火)

命に別状なしとのこと

都立大で社会学者の宮台真司氏がナイフで切られたとの報道が。幸い命に別状はないらしい。この頃、この人の本を読んでいたので驚く。しかし、首を切られたそうなので、箇所によっては頸動脈が傷つけられる可能性もある。

ちなみにTwitterで宮台氏のアカウントをフォローしていたのだけど、発言にイラッとすることが多くてフォローを解除したのが数ヶ月前。

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記号じゃ分からん

バルトの著作にあったグレマスの「行為項」という用語をググってみた。なるほど、こういう風に分析するのかと思ったが、式に変換してしまうと、書いている本人には分かっても読者にとっては途端に分かりにくいものになってしまうと思う。

まだネットで得た知識だけなのだけど、プロップやグレマスの提示した枠組みは冒険譚には非常によく適合するけれど、それらの枠組みに収まらないお話も多々あるのだ。

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2022年11月28日 (月)

地理学の本――『ライブパフォーマンスと地域 伝統・芸術・大衆文化』

『ライブパフォーマンスと地域 伝統・芸術・大衆文化』(神谷浩夫, 山本健太, 和田崇/編, ナカニシヤ出版, 2017)を読む。サブタイトルが「伝統・芸術・大衆文化」なのだけど、これは地理学の本である。

第二章では広島県の芸北神楽が取り上げられている。これは神楽の観光資源化などの諸問題を扱っている。広島県では他に演劇が取り上げられている。広島市は演劇の街でもあるのだ。

他、和太鼓、沖縄のエイサー、アートプロジェクト、都内を活動場所とするミュージシャン、東京の小劇場演劇、東京都のヘブンアーティスト(大道芸など)、フィリピン系移民、北米ベイエリアの和太鼓、韓国ソウルの祝祭などが取り上げられている。

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2022年11月27日 (日)

さすが、シロ難――ロラン・バルト『物語の構造分析』

ロラン・バルト『物語の構造分析』(花輪光/訳)を読む。みすず書房から刊行された本。白い表紙のシリーズで、一部ではシロ難とも言われている。実際に読んでみたが、難解で意味がとりにくい論文もあった。

「物語の構造分析序説」が目当てだったのだけど、非常に難しいという感想。プロップの『昔話の形態論』は読んでいたのだけど、歯が立たなかった。

まあ、これは研究者や評論家に向けた本だろうから、これより難しい本もそうそうないということではあるが。

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2022年11月25日 (金)

人口減の時代の処方箋――デービッド・アトキンソン『新・所得倍増論』『新・生産性立国論』

デービッド・アトキンソン『新・所得倍増論 潜在能力を活かせない「日本病」の正体と処方箋』『新・生産性立国論 人口減少で「経済の常識」が根本から変わった』を読む。

GDP総額=人口×1人あたりの生産性

という式が示される。日本は生産性が低いと昔から言われていたが、生産性とは何かを説明するものがなく、この本に至ってようやく理解した次第。

若かった頃、人事担当の人に生産性について質問したことがあるのだけど、その人は経済を専攻していなかったのかもしれない、よく分からないとの回答だった。

日本の経済指標は人口あたりにすると意外に低いことが明らかにされる。その点で伸びしろがあると分析している。

戦後の高度成長は急激な人口増に支えられたものだったと分析している。終身雇用、年功序列といった日本的経営は人口増の時代でないと成り立たないと指摘する。

これからは人口減の時代に突入する。人口減の時代に入ったら高齢者も減少するかと思ったら、高齢者人口はあまり変わらないのである。それ故、今以上に少ない現役世代が高齢者を支える図式となる。

高品質低価格に疑問を呈する。それは人口増の時代では売上増につながるが、人口減少の時代には自分の首を絞める愚策であるとする。

雇用者の給与は1990年代から減少し続けている。著者はこれを経営者の無能が招いた愚策だと指弾する。

また、GDPを維持するためには生産性の向上が欠かせないが、日本では女性の生産性が低く、女性が活躍する社会になることが求められているとする。その意味で専業主婦には否定的である。

人口減の時代では量的緩和を行っても、効果が低いとしている。

著者は元ゴールドマン・サックスのアナリストであり、分析は明快である。僕はこの人は政権中枢に食い込んでいるのでイギリスのスパイであっても不思議ではないと考えているが、処方箋自体は有益だろう。

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2022年11月23日 (水)

神楽に行けず

今日は大宮住吉神楽と梅鉢会の神楽の日だったのだけれど、行けなかった。前日に家賃を振り込みにいった際、片道2キロくらい歩くのだけど、歩いていてこれはダメだと思った。近々大学病院で精密検査する予定。マスクをして長時間立ちっぱなしで鑑賞するというスタイルが苦しくなっている。

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『石見の民話』モチーフ分析を終えて

以上のような形で未来社『石見の民話』に収録された162話のモチーフ分析を行いました。モチーフとは話の筋の核となる部分です。

桃太郎の場合ですと、

・お爺さんとお婆さんがいた。お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川に洗濯にいった
・お婆さんが川で洗濯していると上流から大きな桃が流れてきたので、それを家へ持ち帰った
・桃を割ろうとすると、中から元気な男の子が出てきたので桃太郎と名づけた
・成長した桃太郎はきび団子をこしらえて貰って旅に出る
・きび団子を犬・猿・キジにやって家来にする
・犬、猿、キジを伴って鬼ヶ島に攻め入り、鬼を征伐する
・鬼の宝物を村に持ち帰って凱旋する

のようになります。

通常は異類婚姻譚(鶴女房とか雪女とか)だったら異類婚姻譚同士でモチーフ分析して比較検討するのですが、ここでは『石見の民話』に収録された162話とばらばらのお話の分析を行いました。

これはこれくらいのボリュームを分析すれば何か見えてくるものがあるかもしれないという極めて楽観的な思いつきによって実行したものです。

以前、大塚英志の本を読んでいて、プロップの『昔話の形態学』を紹介してロシアの魔法昔話を分析すると、およそ31の機能(ファンクション)が抽出できると解説されていました。

留守/禁止/違反/探り出し/情報漏洩/謀略/幇助/加害/欠如/仲介/対抗開始/出立/贈与者/呪具の贈与・獲得/二つの国の間の空間移動/闘い/標づけ/勝利/不幸・欠如の解消/帰還/追跡/救助/気付かれざる到着/不当な要求/難題/解決・発見・認知/正体露見/変身/処罰/結婚

といったものです。

昔話には法則があったのか、面白いと思いました。プロップのそれはあくまで「ロシアの」「魔法昔話」に限った話だったのですけれど、私は誤読して全ての昔話に適用されると思い込んでしまったのです。

プロップの昔話の機能は動詞を基礎とします。たとえば、

・キツネが人を化かした
・タヌキが人を化かした

というのは別のモチーフになります。プロップの形態論では動詞(ここでは化かす)を主として考え、主語、目的語は入れ替え可能なものと考えるのです。

これには意訳に意訳を重ねているいう批判もあるようです。

プロップの機能は冒険譚にはよく当てはまると思うのですが、昔話はそういう話ばかりという訳ではないのです。

そんな訳で昔話から何か法則の様なものが見いだせないか調べるのが私の野望となったのです。

その後、昔話の理論書を読んでいって、アラン・ダンデスの本に行き当たりました。ダンデスはプロップの機能をモチーフ素と呼び変えることを提唱していました。それは音と音素から着想したもので、モチーフとモチーフ素に分解するのです。これは実質的にプロップの機能を全昔話に適用できるように拡張するという狙いが見てとれます。

今回の分析では、民話を読んであらすじに要約、あらすじをモチーフに分解するという手順を踏んでいます。一文単位で要約していますのでモチーフというよりその一段下のツーク(Zug)とした方がいいかもしれません。

それから、このモチーフを形態素解析にかけて品詞を抽出する作業を行いました。これはネット上に形態素解析のツールが公開されていますので、それを利用しました。

これで名詞、動詞などの品詞に分解したものから、幾つか主要なものを選んで概念と概念の繋がりを線で結び。名詞―名詞―名詞、名詞―(動詞)―名詞といった形で昔話の図式を抽出しました。

これは、掟想視『思考と発想 ノート術』という電子書籍を読んでの発想です。この本はノート術と発想法について書かれた本で、ノートに思いついた要素を書いていきます。その中で繋がりのある要素同士を線分で結びます。すると、意外なところに繋がりがあるという形で着想を得るという手法を解説したものです。

つまり、昔話のどこに着想部分、いいかえれば閃き、ないしは発想の飛躍があるか抽出してみようという試みです。昔話の研究者は基幹プロット、核心モチーフとしていますが、これとほぼ同じであるとしていいでしょう。

これは昔話の誕生がどのように着想されたかを推定するものです。昔話は語りを通じて洗練されていきますが、着想、発想の飛躍というのは一回限りのものです。そこに昔話の源流に遡る鍵があるのではないかと考えたのです。

グリム兄弟以降、昔話の研究が進展していきました。19世紀はまた比較言語学や神話学が発達した時代でもあります。インド-ヨーロッパ語族という枠組みが認知されました。昔話のインド起源説があるそうですが、これは明らかにインド-ヨーロッパ語族の枠組みの中で構想されたものでしょう。『ジャータカ』『パンチャタントラ』といった古い説話集の存在も背景にあります。

19世紀に登場した昔話の起源に関する解釈は、他に自然説話説などがあるようですが、現在では否定されてしまっているようです。

20世紀に入るとフィンランドで叙事詩『カレワラ』の起源を探る研究の中から歴史地理的手法が発達します。歴史地理的手法は昔話を広く収集して、昔話の類話の収集地、収集時期をプロットして相互の比較を行うものです。そういった過程を経て昔話の起源・伝播の様態を考察する手法となっています。

この歴史地理的手法からアールネの昔話の話型(タイプ)インデックスが成立します。これらは昔話の研究に決定的な影響を及ぼしました。また、米国のスティス・トンプソンは話型インデックスの補完とモチーフ・インデックスの編纂を行いました。ATで表記される記号がそれです。

トンプソンの研究は第二次大戦前後に行われたものです。1920年代には既にロシアのプロップの昔話の形態論があったのですが、これが欧州に紹介されるのは1950年代後半になります。その点でモチーフ・インデックスと昔話の機能とは別々に存在する形となっています。

その点でダンデスのモチーフ素は歴史地理的手法と昔話の形態論を繋げる試みとも見ることができます。

当ブログでは三~四行程度に要約したモチーフの末尾に括弧でくくって[モチーフ素]を追記することで、これがモチーフ素ではないかと提示しています。

これらの研究が出そろったのは1990年代のようです。平成とほぼ重なりますが、その後の進展は調べた限りでは見られないようです。日本の研究者たちはアジアのインデックス作成に従事しているようです。

昔話より視野を広げればナラトロジーなどがありますが、ここでは取り入れません。

自力で何か新しいものを付け加えられないかと考えたのが形態素解析です。形態素解析による分析は日本ですと『源氏物語』の各帖の分析が行われたりしています。それには統計学や複雑な数式が用いられており、昔話研究というより情報学、計量文献学のジャンルになります。

私は文系かつ事務系ですので量的分析の手法は知りません。それで、形態素解析で抽出した品詞から概念同士の繋がりを見て、発想の飛躍を抽出するという試みを行いました。これはコンピューターでは行えない作業です。

私大文系の限界で、これ以上の分析は出来ないのですが、この分析スタイルについて他の方の意見を聞きたいところです。英語で検索してもヒットするのはプロップの形態論ですから、海外でもやっている人はいない可能性があります。

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石西編が終わる

未来社「石見の民話」のモチーフ分析、石西編が終わった。これで162話全部終了。6月から始めたので半年かかった。実はこれで終わりではない。初期と現在では分析手法が変わっているので、はじめからロールバックして100話ほど修正しなければならない。負荷のかかるのは粗筋を起こすところなので、山場は過ぎたのだけど、まだ長い作業が待っている。

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長い話――モチーフ分析

◆あらすじ

天からへこ(ふんどし)が下がった。

◆モチーフ分析

・天からふんどしが下がった

 形態素解析すると、
名詞:ふんどし
動詞:下がる
副詞:天から

 天/ふんどしの構図です。天―(下がる)―ふんどしの図式です。

 天からふんどしが下がった[下垂]。

 天からふんどしが下がった……という内容です。

 発想の飛躍は天とふんどしを結びつけることでしょうか。天―(下がる)―ふんどしの図式です。天使の梯子(はしご)の様なものでしょうか。ここでは、ふんどしという下着を描写することで尾籠(びろう)さを表現して笑いを誘う意図が見えます。

◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)p.469.

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