AmazonのKindleストアで電子書籍をセルフ出版してます

AmazonのKindleストアで下記の電子書籍をセルフ出版しています。

(石見の文芸シリーズ)
石見の姫神伝説:乙子狭姫、胸鉏比売、天豊足柄姫命、櫛代賀姫命など
https://www.amazon.co.jp/dp/B09BM11H6G/
石見の伝説:伝説の地を巡る
https://www.amazon.co.jp/dp/B09RJZVPQF/
神楽と文芸(総論): 石見神楽、芸北神楽、神代神楽、太々神楽など
https://www.amazon.co.jp/dp/B09MRFXFWS/
神楽と文芸(各論):神楽の重要演目・人気演目
https://www.amazon.co.jp/dp/B09PH6L1RG/
神楽と文芸(各論2):鬼退治
https://www.amazon.co.jp/dp/B09TK1GZ4R/
神楽と文芸(各論3):神話・歴史・エトセトラ
https://www.amazon.co.jp/dp/B09WW1R6N6/
(その他)
ブログから電子書籍までニッチ戦略の執筆術
https://www.amazon.co.jp/dp/B09RTZHP4K/

価格はいずれも500円。キンドル・アンリミテッド会員なら無料で読めます。

|

2022年7月 6日 (水)

値上げする

「石見の姫神伝説」「石見の伝説」「神楽と文芸」を500円に値上げする。最低価格で売れないなら利益の確保を計るべし。

|

猟師徳蔵――モチーフ分析

 昔、徳蔵という猟師がいた。毎日山へ入って生計を立てていた。ある日山から帰りがけに友達に会った。友達は変わった話として、どこぞの女房が他所の男と親しくなって自分の夫を殺すらしいという話をした。特に疑問に思わなかった徳蔵は女房に鏡を買って帰った。家へ戻ると女房が間男と徳蔵を殺す算段をしていた。その場に踏み込んだ徳蔵は女房にこの鏡は権現さまから授かった鏡で良い事悪い事が分かる鏡だとかまをかけた。間男は逃げた。驚いた女房はこれまでのことを白状して詫びた。

 そんな事があって徳蔵の鏡でみるとどんな事も分かると評判になった。その頃、村の庄屋で四百両が無くなった。そこで庄屋から徳蔵に呼び出しがかかった。庄屋はケチでろくに給金を払わないと評判が悪かったので、誰かが盗んだのではないかと噂がたった。引き受けた徳蔵は夜中にこっそり権現さまに参詣して、かくかくしかじかの事情で嘘をついているが、どうか願いを聞いて欲しいと祈った。すると、誰かがきざはし(段)を上ってきた。隠れてみていると庄屋の女中であった。女中は徳蔵には気づかず、掃除をしていて大金を見つけた。給金を払ってもらってないが老母を養わねばならないので、つい盗んでしまった。どうか自分が取ったということは分からぬように庄屋のところに戻る様にして欲しい。金はきざはしを上り詰めた所の椎の木の穴の中に入れておくと頼んで帰った。徳蔵はあくる朝庄屋へ四百両のありかを伝えた。そして給金の払いがよくないから先々よくないことが起きると話した。庄屋は心を入れ替え、これまでの給金を払った。

 無くなった四百両が無事戻ってきたので徳蔵の評判はますます高くなった。そこへ代官から呼び出された。徳蔵は自分がでたらめなことを言っているのでお叱りを受けるのではないかとびくびくしながら出頭すると、代官も失せ物があるという話だった。請け給わった徳蔵だったが、今度は権現さまの機嫌を損じたものか、誰も現れなかった。

◆モチーフ分析

・昔、徳蔵という猟師がいた
・ある日、友達と会う
・友達からどこぞの女房が夫を殺そうとしているらしいと聞く
・徳蔵、鏡を買う
・家に帰ったところ、女房が間男と一緒にいた
・間男、逃げる
・徳蔵、魔法の鏡と嘘をつき、女房を謝罪させる
・このことが評判となる
・ある日、庄屋から盗まれた四百両のありかを探して欲しいと頼まれる
・徳蔵、権現様に参る
・すると、四百両を盗んだ女中が現れ、四百両のありかを漏らす
・それを聞いた徳蔵、庄屋に話す
・無事、四百両がみつかる
・ケチだった庄屋の給金払いがよくなる
・ある日、徳蔵は代官所から呼び出される
・嘘をついていることを叱られるのかと思いビクビクする
・代官から失せ物の相談を受ける
・請け負った徳蔵、権現様に参る
・しかし、誰も現れなかった

 噂を<聞いた>徳蔵が家に<帰る>と女房と間男が一緒にいるところを<目撃>する。間男は<逃走>する。徳蔵、鏡を魔法のアイテムだと女房を<欺す>。女房は<謝罪>する。このことで評判が<立つ>。庄屋から盗まれた金のありかを探す様<依頼>される。<承知>した徳蔵は権現様に<祈願>する。すると犯人の女中が現れ罪を<告白>して去る。金のありかを<把握>した徳蔵は庄屋に<説明>し、問題は<解決>する。ある日、徳蔵は代官所から<召喚>される。嘘がばれたのではないかと徳蔵は<畏怖>する。代官が徳蔵に失せ物の捜索を<依頼>する。徳蔵、権現様に<祈願>する。が、何もなかった。
 偽の魔法のアイテムで<千里眼>を得たと<欺し><謝罪>される。後日、仕事を<依頼>され<承知>、権現に<祈願>したところ<成功>する。二度目は何もおこらず<不発>に終わった。

 <依頼>から<承知>、<祈願>から<解決>という型を繰り返しますが、二回目では未解決のまま終わります。あっけない結末と言えます。

 この後、徳蔵は代官から叱られたという結末を想像することも可能です。が、そこまで描かれていないのは何故かという問いかけも大切でしょうか。

◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)pp.58-61.

|

2022年7月 5日 (火)

一度は体験したいKJ法――川喜田二郎「発想法」

川喜田二郎「発想法」(中公新書)を読む。KJ法は現在で言えば質的研究にあたるもので、収集した大量のデータを一行要約的に細かく分解、カード化して脱文脈化したものを、親近感のあるカード同士をまとめて小グループにし、更に中グループにまとめて……として図解化、データの傾向を読み取り、更に文章化して再文脈化する……という説明でいいだろうか。小から大へというところがミソだそうである。

中には孤立したカードも出てくるそうだが、それは必ずしも失敗ではなく、むしろ発想の元となる可能性が高いそうである。

発想とその統合は未開拓の分野であるとして取り組んだその結晶がKJ法である。

KJ法って一度体験してみたいのだが、経験したことがない。絵心がなくて描画ソフトも使えない。図解するのが苦手である。基本、紙ベースで行うものだが、現在はソフトウェア化されているようだ。

KJ法は理性による思考ではなく情念による思考だとしている。脳科学的なことは分からないが、脳内でバックグラウンド的に連想、アナロジー的な思考が働いており、それを可視化する手法というところだろうか。

|

2022年7月 4日 (月)

しの田の森の白狐――モチーフ分析

◆あらすじ

 昔、炭焼きがいた。女房もおらず貧乏をしていた。ある日いつものように炭焼きをしていると、やせた狐がやってきたので炭焼きはむすび飯の残りを与えた。それから四五日経って、美しい女房がやってきて嫁にして欲しいと頼んだ。炭焼きは貧乏だからと断ったが、女房が頼み込んだので嫁にした。女房はよく働き反物も織ったので暮らしも楽になり男児が生まれた。

 男児が三歳になったある日、母親が昼寝をしているのを見ると、着物の裾から尻尾が覗いていた。母親は誤魔化した。びっくりした男児は父親にそのことを話した。母親は書き置きを残して逃げた。父親は書き置きを読んでびっくりして子供を連れてしの田の森へいった。書き置きにあった返歌を読む。すると母狐の親の婆さんが出てきた。婆さん狐は人間の孫はお前一人だけだと懐かしがる。爺さん狐も母狐も出てきた。

 孫に何かやりたいと婆さん狐が言ったので母狐が知恵と言えと子供に教えた。それで爺さん狐は耳とくをくれた。耳にかけると鳥や獣の言葉が分かる、三里先のことでも聞こえる便利なものだった。

 子供はその耳ときを得たので世の中のことが何でも分かる様になる評判となった。

 ある時天子が病気になったとき、この子供を召して病気を治させた。子供は大層なご褒美を得た。

◆モチーフ分析

・昔、炭焼きがいた。独身で貧乏だった。
・いつものように炭焼きをしていると、やせた狐が寄ってきた
・狐にむすび飯の残りをやる。狐、喜んで去る
・四五日後、女房がやってきて嫁にして欲しいと頼む
・炭焼き、一旦は断るが、断りきれず嫁にする
・女房は働き者で反物を織った。暮らしも楽になる
・男児が生まれた
・三歳になった子供がある日、昼寝していた母の尻尾を見てしまう
・母親、誤魔化す
・子供、そのことを炭焼きに話す
・母親、書き置きを残してしの田の森に逃げる
・炭焼き、子供を連れてしの田の森へ行く
・炭焼き、書き置きにあった返歌を読む
・婆さん狐が出てくる。婆さん、人間の孫はお前だけだと懐かしがる
・爺さん狐、母狐も出てくる
・婆さん狐、孫に何かやりたいと言う
・母狐、子供に知恵と言えと教える
・子供、知恵が欲しいと答える
・子供、耳ときを得る
・耳ときを使うと動物の言葉が分かるようになった
・子供、世の中のことが何でも分かる様になり評判となる
・病気となった天子が子供を召した
・子供は耳ときを使って天子の病気を治した
・子供、褒美を得た

 炭焼きがむすび飯を<飢え>ていた狐に<贈与>すると、狐は女房の姿になって嫁にして欲しいと頼む。<婚姻>。暮らし向きは楽になり、子供が<誕生>する。子供が母親の秘密を知ってしまう。<露見>。母狐は歌を残し<去る>。炭焼きが子供を連れてしの田の森へ行くと<訪問>、婆さん狐が出てくる。母狐の<助言>で子供はアイテムを<獲得>する。そのアイテムは動物の声が聞き取れるようになるものである。そのアイテムの力によって子供は評判を<獲得>する。病気の天子に<召された>子供は天子の病気を<癒やす>。子供は褒美を<獲得>する。

 最後の天子の病気を癒やす件は、それ自体で一つのモチーフとなっています。

 <贈与>がきっかけとなり<婚姻>、男児が<誕生>します。が、秘密が<露見>、母狐は<去り>ます。<返歌>が再会の鍵となります。母狐に<再会>した子供は母の<助言>で知恵を<獲得>して評判になる……という流れです。

 <贈与>は<婚姻>と結びつきますが、全体としては知恵の<獲得>と結びつくとも解釈できるでしょうか。

 異類婚姻譚です。しの田と表記されていますが、信太の森とすると、安倍晴明の伝説とも関わりを持ってきます。

◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)pp.55-57.

|

2022年7月 3日 (日)

アナログの時代の悪戦苦闘――梅棹忠夫「知的生産の技術」

梅棹忠夫「知的生産の技術」(岩波新書)を読む。知的生産とあるので、カードを使った発想法についてだろうかと考えていたが、案外、形式的な側面が強かった。手帳、カード、スクラップブック、ファイルキャビネット、タイプライターといったツールについて語られる。これらは現在ではデジタル化されて利便性が格段に向上している。アナログ、紙ベースでしか処理できなかった時代の悪戦苦闘の記録が現代に伝えられているといった読み方をすべきだろうか。例えば、タイプライターの時代では漢字廃止論が根強くあったことが窺える。

また、手紙、日記、原稿、文章の書き方にもページが割かれているが、これも形式的な側面が強い。文章作法的なことが書かれているのだ。一方で、カードを並べ替え組み替えて文章を生成するこざね法についても触れられている。これが唯一発想法的だろうか。

発想法について知りたい人は、川喜田二郎「発想法」(中公新書)を当たった方がよさそうだ。

メモをとることの大切さも強調されている。僕自身、自分の内にあった思いを言語化しなかったことで後悔したことがあるので身につまされる。

|

炭焼き長者――モチーフ分析

◆あらすじ

 昔、分限者の酒屋があった。娘がいたが大層な酒好きで朝から酒ばかり飲んでいた。旦那は色々言って聞かせたが一向に効き目がない。とうとう娘に大判小判を持たせて追い出してしまった。

 追い出された娘は江戸へ上り、日本橋でぶらぶらしていると易者に呼び止められた。娘の手相と人相をみた易者は娘の縁談は佐渡の国の何村の何兵衛に決まっているから訪ねるよう勧めた。

 娘は喜んで佐渡へ渡った。何日も探してようやく炭焼きのことだと分かった。炭焼きの家へ行って一晩泊めて欲しいと頼むと、あなたの様な人をこんな家には泊められないと断られた。無理に頼むとようやく泊めてくれた。

 夜が明けても米がないので娘は炭焼きに大判を一枚渡し、これで米を買ってくるように言い付けた。ところが炭焼きは途中でサギに大判を投げてしまった。もう一度渡すと今度は犬に投げて帰ってきた。あれは大判といって米でも何でも買えるのだと説明すると、炭焼きはあんなものは幾らでもあると答えた。行ってみると本当に黄金がごろごろ転がっていた。炭焼きもこれが黄金だと理解し、それから黄金を掘り出して大金持ちになって娘と夫婦になって楽しく暮らした。

◆モチーフ分析

・昔、分限者がいた。大酒飲みの娘がいた
・分限者、娘を諭すが効き目がない。娘に金をやって放逐する
・娘、江戸へ上る
・日本橋で易者と出会う。手相と人相を占った結果、佐渡に婿がいると予言される
・娘、佐渡へ渡る。あちこち探しまわって炭焼き小屋に辿り着く
・娘、炭焼きに一夜の宿を頼む。炭焼き、初めは拒否していたが、止むなく迎える
・朝、朝食の米がない。娘、炭焼きに大判を渡して買い物にいかせる
・炭焼き、サギに大判を投げてもどってくる
・娘、再び大判を渡す
・炭焼き、今度は犬に大判を投げて帰ってくる
・娘、炭焼きに大判の価値を説明する
・炭焼き、そんなものは裏にあると答える
・果たして黄金があった
・黄金を掘り出した炭焼きは金持ちとなり、娘と夫婦になった

 佐渡の金山の由来を説明する昔話でもあります。

 分限者が大酒飲みの娘を<追放>、娘は江戸へ<上り>ます。易者と<遭遇>した娘は<占い>をしてもらい未来の夫が佐渡にいると情報を<獲得>します。佐渡で<探索>、炭焼きと<出会い>ます。炭焼きに大判を与え<買い物>に行かせたところ<無駄>にしてしまいます。炭焼きはそんなものはいくらでもあると答え黄金を<発見><結婚>するという形です。

 <追放>が<結婚>に転換される点でユニークな話型です。大判を<無駄>にしたところ黄金の<発見>につながる、また<占い>が黄金の<発見>に結びついたとも読み取れます。

 <追放>から<帰還>へと着地しない点も挙げられるでしょうか。

◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)pp.52-54.

|

2022年7月 1日 (金)

現在では乗り越えられるべき存在――福田アジオ「日本民俗学方法序説」

福田アジオ「日本民俗学方法序説」を読む。これは民俗学の理論に全面的な検討を加えた本で、当時、柳田国男が確立した民俗学の方法論を金科玉条のごとく守っていた彼の弟子たちに対して痛烈な批判を浴びせたものとなる。

検討内容は多岐に渡るが、主な批判は民俗学の資料操作法、つまり重出立証法と周圏論について理論的検討を加えたものとなる。

重出立証法は比較研究とも呼ばれ、民俗学者たちが全国で収集した資料を比較検討することで分類し系統づけ、その分布状況から個々の変遷を推測するというものである。

福田は重出立証法に対し、差異を比較することでは歴史的な変遷までをも明らかにすることはできないのではないかと批判する。

周圏論は本来は方言周圏論、つまり方言は中央(近畿)から同心円状に分布するとしたものである。これはある面で地域の隔絶具合によって方言の変遷の早い遅いを示すもので、その変遷を一系統上の変化と見なすものである。

本来は周圏論は方言研究に限定されていた。が、やがて民俗全般に適用されるようになっていったと批判するものである。

柳田の中央集権的な方法論(地域の研究者は資料の提供者として限定されていて、理論構築からは疎外されている)を批判した本でもある。

また、収集した資料が(カード化されること等によって)脱文脈化されることで、その地域との繋がりを失った根無し草となるのではないかと疑義を呈している。

他にも批判は多岐に渡るのであるが、一読ではまとめきれない。

読んでみた感想として、これは民俗学の核心的な内容にメスを入れた本であるが、特に難解ということはなかった。そういう意味では自分に合っていた学問は民俗学だったのかなと考えさせられた。

2020年代の現在では福田アジオは逆に乗り越えられるべき存在と見なされていることも付け加えておこう。

|

2022年6月30日 (木)

どぶの主――モチーフ分析

 昔ある村に長い間住職のいない荒寺があった。あるとき一人の侍がこの村を通りかかって、茶店の主人にあの荒寺はどういう訳であんなに荒れているのか尋ねた。すると主人はあの寺には夜になると化物が出るので誰も住む者がいない。それで荒れているのだと答えた。それを聞いた侍はそれでは自分が退治してやろうと言った。主人が無事に帰った者はいないと引き留めたが侍は荒寺へ入っていった。

 侍が本堂に上がってみると、足の踏み場もないほど荒れていた。真夜中になると、何ともいえぬ鬼気が迫ってきた。sのうちに激しい邪気を催してきた。侍は眠気をこらえてじっと見張っていると、何ともつかぬさまざまな形をした化物がぞろぞろと現れた。

 侍は出てくる化物をかたっぱしから斬った。が、化物は後から後から出てくる。そのうちに化物がお待ちくださいと言った。侍が刀を引くと、化物は訳を話しだした。この寺の住職と家内が物を粗末にし、茶碗や皿、箸、しゃもじその他の道具や品物を少し使ってはどぶに流し込んだ。我々はどぶに流されたので、きたない泥水の中で長い間苦しんでいる。それを知ってもらうために変化になったのだが、誰もすぐ逃げ出してしまい、話を聞いてくれるものがいないと。

 侍が承知すると化物たちはすっと消えてしまった。夜が明けると侍はお寺の裏に出てみた。裏には台所から流しの水の出るところに小さなどぶ池があって、ぶつぶつと阿波だって嫌な臭いがする。ここだと思って棒きれでまぜ返すと、椀や杓子などが沢山でてきた。侍は人々に訳を話し、どぶ池をさらって埋まっている道具類を引き上げて焼き捨てた。それから化物は出なくなった。

◆モチーフ分析

・昔ある村に住職のいない荒寺があった
・一人の侍が村を通りかかり、荒寺の訳を聞く
・化物が出る戸知った侍は自分が退治すると乗り出す
・村人の制止にも関わらず、侍、荒寺に入る
・夜になると邪気が襲ってくる。化物登場
・侍、化物を斬る。化物が待ってくれと言う。
・化物、事情を話す。住職たちが家財をどぶに捨てていた
・夜が明け、侍はどぶを浚う
・やってきた村人たちに事情を話し、出てきた家財を焼却する
・それで化物は出なくなった

 荒寺のある村に侍が<訪問>する。化物の<噂>を聞く。化物を<退治>することにした侍、荒寺に入る。化物<登場>、侍、化物を<斬る>。その内、化物が事情を<打ち明ける>。了承した侍は<剣を収め>、どぶを<浚う>。道具類が<出てくる>。道具類を言われたとおり<焼却>する。化物は<出現>しなくなる。

 荒寺に化物が出るパターンのお話です。化物が<登場>し、侍は<応戦>します。その内に化物が事情を<告白>し、了承、どぶを<浚った>ところ道具類が出てきて<焼却>、化物は<出現>しなくなるという形です。

 化物の<出現>と<消滅>というペアですが、その間に人間が原因を引き起こしたと語られるのが特徴でしょうか。

◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)pp.49-51.

|

2022年6月28日 (火)

蛤姫――モチーフ分析

◆あらすじ

 昔、一人の若い漁夫がいた。毎日海へ出て魚を獲って、それを町で売って生計を立てていた。ある日、いつもの様に舟で漁をしたが、一尾もかからなかった。もう一度釣ってかからなかったら今日はやめようと思って最後の糸を投げ込んだ。

 しばらくすると手応えがある。やっとのことで引き上げてみると、見たこともない様な珍しい蛤(はまぐり)だった。びっくりして見とれていると、蛤が二つに割れて中からきれいな女の子が出てきた。漁夫は喜んで家へ連れて帰り、蛤姫と名をつけて大切に育てた。

 姫は大きくなるにつれてますます美しくなった。そして姫は機を織ることが大変上手で、その織物は何ともいえぬ美しさだった。漁夫はそれからは漁をやめ、姫の織った反物を町に売りに出て、たくさんの金を儲け、楽しく暮らした。

 姫は美しい反物を織るばかりでなく、機を織る音がまるで美しい音楽のようだった。それを聞いた人たちが姫の機を織る様子を見ようと漁夫の家に押しかけてきたが、姫はなぜか一室に閉じこもって、戸を固く閉め、機を織る姿を誰にも見せなかった。

 ある日、漁夫はいつも通り、反物をもって町へ出かけた。ある一軒の大きな家で呼び止められ、たくさんの金で買い取られた。よい物を買った。お礼にと座敷に上げ、ご馳走やお酒でもてなした。漁夫はよい気分で酔い潰れてしまった。

 家では蛤姫が今日も一人、一室で美しい音をたてながら、とんとんからりと機を織っていた。すると近所の人たちがやって来て、今日は漁夫が帰っていない阿から、戸を開けてみようではないかと相談して、部屋へそっと近寄るといきなり戸をあけてのぞき込んだ。

 蛤姫はびっくりして機を織る姿を見られたら、もうここにいることはできない。蛤の中へ帰ると言って消えてしまった。

◆モチーフ分析

 「蛤姫」は蛤女房が艶笑譚なのを子供向けに改作したものと考えられます。
・昔、一人の若い漁夫がいた
・漁に出た漁夫だったが不漁だった
・これで駄目なら引き返そうと釣り針を海に入れたところ、珍しい蛤が釣れた
・蛤の中から可愛い女の子が出てくる
・蛤姫と名づけられる
・蛤姫は機を織るのが得意で美しい反物を織った
・また、機を織る音は美しかった
・だが、機を織る姿は誰にも見せなかった
・漁夫は反物を売りに町へ出かける
・反物が高く売れる
・反物を売ったお屋敷で漁夫は宴席によばれる
・漁夫は酔い潰れてしまう
・漁夫がいない隙に近所の者たちが蛤姫がいる部屋の戸を開けてしまう
・機を織る姿を見られた蛤姫はもうここにはいられないと消えてしまう

 漁夫が<漁>に出る。<不漁>だが遂に珍しい蛤を<釣り>上げる。蛤の中から可愛い女の子が出てくる。女の子は蛤姫と<名づけ>られる。蛤姫は機を<織る>。しかし、織る姿は誰にも見せない。<禁止>。漁夫、蛤姫が織った反物を売りに<外出>する。その隙に近所の人たちが蛤姫が機を<織る>姿を見てしまう。<露見>。蛤姫、もうここにはいられないと<消滅>してしまう。

 基本的には<禁止>の<侵犯>による<婚姻>の<破綻>です。姫は機を織っているところを他人に見られてしまいますが、特に変わった様子はありません。ただ見られたから、ここにはいられないとなるのです。

◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)pp.46-48.

|

2022年6月27日 (月)

当てが外れる

国会図書館に行く。お目当ての博士論文はどちらも関西館所蔵で当てが外れた。江戸里神楽公演のパンフレットからアンケートのページをコピーする。七回以降は掲載されていないのが意外だった。

梅雨が明けた。真夏の様な暑さだった。

|

«えんこうの手紙――モチーフ分析